細川珠生(政治ジャーナリスト)

 誤解を恐れず言えば、女性が「仕事も子育ても」どちらも完璧にこなしていくことは不可能だ。必ず「どちらか」を選択しなくてはならない。それは一生にわたっての選択の場合もあるだろうし、瞬間的な場合もある。また時期による「濃淡」という意味の選択もある。

 別の言い方をすれば、どちらもやっていこうと思えば「そこそこ」というので精一杯というのも現実である。最近は、ここに親の介護も加わり、そこそこの様相はますます強まっている。男性も積極的にこれら家庭の事情に加わっていくことが求められる時代になったが、それでも男女が全く同じようにその役割を担うのも不可能だ。

 それは男性と女性という性別の違いが存在し、その違いをなくすことは根本的に不可能であるからだ。違いをなくすことより、むしろその違いを生かす社会の方が私は合理的であり、効果的であると思う。

 その視点に立つと、「配偶者控除」という仕組みはあって然るべきものと考える。昨今の「女性の活躍」を目指す風潮の中で、配偶者控除がその障害となっているように捉えられているが、私はそうは思わない。

 「先が見えない」と思ってきた私自身の子育ても、気がつけば義務教育を3分の2終えるところまでたどり着いた。私はどこかの社員として働いてきたのではないので、この間産休もなければ育休もなかった。事実、出産の4日前まで仕事をし、産後1カ月で仕事を再開した。また、いわゆる「自営業」扱いでもあり、夫の扶養家族にも結婚以来入っておらず、よって配偶者控除の適用対象者でもない。
 また、保育園入園可否の優先度も低く、保育園など公的な子育て支援のお世話にならずに、仕事と子育ての両立を行ってきた。現実はとても厳しい毎日で、いつも「どっちつかず」と思いながら12年間この状態が続いてきた。

 「中途半端」な自分自身にイライラすることもあったし、いつも時間に追われ、セカセカしている日常生活に、私の家族は本当に幸せなのだろうかと自省することもあった。しかしその中でも、私の軸足は常に母親としての役割に置くという決意は変わらなかった。

 それは、仕事はその気さえあれば、後からいくらでも挽回できるが、子育てはやり直しがきかないと思ってきたからである。その結果、30代後半から40代前半に、思うように仕事ができなかったのも事実だ。