藤尾智之(税理士・介護福祉経営士)

 パンドラの箱がついに開きます。見直し対象となっていながら見送られ続けた配偶者控除制度。そして、破たんが心配されている介護保険財政の立て直し。この問題解決には痛みを伴う不人気政策が必要なため、時の政権は本腰をいれず、いつも「おおかみ少年」呼ばわりされてきました。しかし、今回は本当に実現されるようです。


配偶者控除のおさらい


 専業主婦(専業主夫)のいる家族に恩恵のある配偶者控除。配偶者控除は高度経済成長時代の昭和36年に誕生し、今年で56年目です。当時は夫が働きに出て、妻は専業主婦というサザエさんのような家族構成がモデルでした。専業主婦は働きにこそ行かないですが、家庭内の秩序維持や夫の後方支援を担っています。配偶者控除とは、いわゆるこの内助の功を夫の税負担軽減に反映させたものです。
※写真はイメージ
※写真はイメージ
 所得税の配偶者控除は、専業主婦(夫)の所得が38万円以下の場合、その夫(妻)の所得税の計算上、所得控除として38万円の控除が受けられます。例えば、妻が年間100万円の給料を稼いでいるとすれば、妻の給与所得は所得控除額65万円を差し引いた35万円となります。38万円以下となるので、夫の所得税の計算上、配偶者控除が受けられます。

 上記のケースを使いさらに具体的な節税効果を確認してみます。夫の給与を500万円、給与所得控除額を154万円とすると給与所得は346万円となります。そして、社会保険料を68万円、配偶者控除38万円、基礎控除38万円とすると所得税は10万4,500円となります。仮に配偶者控除がないとすると所得税は14万2,500円です。配偶者控除は、年間3万8,000円の節税効果を生み出しています。

 忘れがちですが、住民税にも配偶者控除があります。控除額は33万円です。住民税の税率は都道府県民税・市町村民税合わせて10%なので、年間3万3千円の節税効果です。夫の給与が500万円の場合、所得税・住民税の節税効果は合計7万1,000円です。これはかなりの節税効果です。


配偶者控除と似ている配偶者特別控除とは?


 配偶者の給与所得が38万円を超えるとこの世の終わりと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。配偶者特別控除があります。配偶者控除とよく似ている名前のため、こんがらがる方もいるかもしれません。実は、配偶者特別控除の最大控除額も38万円です。ただし、最大がある一方で最低もあり、最低控除額は3万円です。