1993年に小沢氏らが作り出した「守旧派vs改革派」の対立図式、2005年の郵政民営化選挙で小泉首相が作り出した「郵政民営化反対派vs賛成派」の対立図式そのままに、「都議会はブラックボックス」と「都議会自民党vs小池」の対立図式を見事に作り出し、内田茂都議を「都議会のドン」とレッテル貼りして悪の権化にしてしまった。

 その都議会自民党を象徴的にたたける手段として小池氏が目を付けたのが東京五輪の経費問題、そして築地市場の移転問題だ。
豊洲市場(手前)=東京都江東区
豊洲市場(手前)=東京都江東区
 築地市場の豊洲への移転は、いったん立ち止まって考え直す。水質モニタリングの最終結果を待つ。この選挙公約は、大きなハレーションを巻き起こした。豊洲市場への移転期日まで決まっていたのに、移転を準備していた市場関係者の怒るまいことか。

 しかし、築地市場の移転を延期すると表明した小池氏が、290万票以上の得票で圧勝し、都知事の座に就くと、8月31日には、11月7日に予定されていた築地市場の豊洲新市場への移転延期を決めた。その理由について、(1)豊洲新市場の安全性への懸念、(2)新市場移転にかかる巨額かつ不透明な費用の増加、(3)情報公開の不足をあげた。

 小池知事は延期決定の記者会見の場で「来年1月に発表される地下水モニタリングの結果を確認し、豊洲新市場の施設や事業の継続性などを検討する、市場問題プロジェクトチームの結果が出た後に決める」と発言したが、もし、このまま豊洲新市場に何の問題も起きなければ、「補償だってバカにならない、税金を無駄に使った」と集中砲火を浴びたろう。

 しかし、豊洲新市場に本来されていなければならなかった盛り土がされていなかったことで、小池知事は運を引き寄せる。豊洲新市場の安全性への懸念は増し、加えて地下水のモニタリング調査で、第1回から第8回の調査では問題がなかったのに、第9回の調査では基準値の79倍ものベンゼンが検出されるなど、「小池知事でなければ、そのままになっていたけど、やっぱり小池知事の判断は正しかった」と圧倒的な支持を得続け、「都議会のドン」内田氏の地元、千代田区長選が折よく2月5日に行われ、小池知事が支援する現職の石川雅己区長が、内田氏ら都議会自民党が担いだ与謝野信候補をトリプルスコア以上の差で一蹴した。