「豊洲移転をするかしないか、業者への補償をどうするかが本筋なのに、過去の経緯に拘泥して石原氏まで百条委員会に引っ張り出すのは都議選目当てのパフォーマンスではないか」という批判もメディアで目にする。

 もし、3月に行われる地下水モニタリング調査で引き続き地下水の基準値以上の汚染が確認された場合、豊洲移転が本筋と主張する石原氏との違いはより鮮明になる。
都議会の予算特別委員会に臨む小池百合子都知事=3月15日、都庁(酒巻俊介撮影)
都議会の予算特別委員会に臨む小池百合子都知事=3月15日、都庁(酒巻俊介撮影)
 焦点は、「進むも地獄、退くも地獄」の豊洲移転問題に、政治リーダーとして小池知事がどのような判断を下すかだ。第9回の地下水モニタリング調査の結果を待って豊洲移転の時期を決めていく方向を示唆した小池知事だが、基準値以上の汚染を知り、石原氏らの追及に舵を切った。

 築地市場の移転問題を都知事選の争点にし、盛り土問題、地下水の汚染問題で強運を引き寄せた小池知事。だが、石原氏の主張通りに豊洲新市場への移転を決めれば、「やはり豊洲しかなかった」と移転派が凱歌をあげることになり、豊洲新市場移転を取りやめれば、代替案をまとめ、コストも含めて都民の納得いくように示していかなければならない。築地市場の汚染問題もクローズアップされている。

 石原氏の記者会見、百条委員会の経緯を見ながら、小池知事はどのような決断を下すのか。「安全と安心をごちゃまぜにしている」「決められない政治家」という石原氏の挑発にどうこたえるのか。

 3月に入り、メディアの報道は金正男氏暗殺、そして森友学園問題にシフトしてきている。自民党にとっては、都議選に悪影響を及ぼすとはいえ、国政レベルで森友問題が過熱するよりも、「小池vs石原」の対立図式で少しでも森友学園問題から目をそらしたい思惑も垣間見える。となれば、小池知事はここでも運を引き寄せた、といえよう。都民ファーストの会と公明党の都議選での選挙協力も、森友学園問題の前でかすみがちだ。

 ここまで、迫力と実力・胆力で運を引き寄せてきた小池知事は、どこへ行こうとしているのか。東京五輪の経費問題はひとまず休戦の気配だが、豊洲新市場への移転問題に関しては、都議選に向け、小池印を求めて小池知事の決断に都議会自民党以外の各会派が抗う可能性が低い中、「都民ファースト」の真価が問われることになる。