回転ドアのようにめまぐるしく替わる都知事。任期途中の突然の辞任、そして1ヶ月そこそこで急ぎ行われる都知事選。政策より人、しかも知名度優先で選ばれる「補選」のような都知事選が3度も続いた。もう、この辺で落ち着こうと選んだ女性初の都知事、それが小池百合子氏である。人気は高いが、果して安定した都政運営になっていくのかどうか。

 7月の「都議選が全て」とばかり、都議会で過半数の議席確保に新党をつくるなど血眼になっているが、こんなに都議選にこだわる都知事を見たことはない。最大会派の党首が首相になる国の議院内閣制ならともかく、知事も議員も別々に選ばれ、知事は執行機関、議会は議決機関で双方は抑制均衡を保つことが望まれる2元代表制においてだ。議会は知事の下請けでも、足場でもないのに、内心は自信がないのではないか。仮に首尾よく世論の後押しで過半数の支持勢力を得たとして、そのあと何をやるのか、ここを有権者は聞きたい。

 勝った、負けたの政治評論ではなく、都議選後の都政で何をしたいか、そこがポイントだ。今の証人喚問と巷間聞こえてくる声として豊洲移転の「中止」か、「実行」を争点にしたいという話だ。住民投票まで仕掛けようという話もあるが、これが争点になるのか。「都議選後はともかく」と留保して戦い、かりに「中止派」が議会の過半数を占めたとして、ボロボロになった、土壌汚染が明らかになり始めた築地市場の移転は待ったなしが現実だ。これをどうするのか、その代替案があっての中止なのか。代替案が「ない」とすれば、もう一度「みんなで考えよう」で15年前の都政に歯車を戻してのやり直すのか。
築地市場の移転先となる豊洲市場=東京都江東区(斎藤浩一撮影
築地市場の移転先となる豊洲市場=東京都江東区(斎藤浩一撮影
 誰が知事であろうが都政は継続している。その中で時々の判断が要る。築地移転の問題が従来と違うのは、既に6000億円を投じて新たな新市場が豊洲に完成し、いつでもスイッチオンの状態にあることだ。安心・安全論争が空気のように戦わされているが、豊洲市場を凍結しそれを不良債権化する、都政が赤字団体にも転落しかねない選択が正しいのかどうか。いまの、風のような東京大改革の連呼に不安を感じてしまうが、それは筆者だけだろうか。

 “いつ・どこで・誰が”決めたか、その犯人を突き止める。ここ半年以上続く小池都政の「刑事都政」とも思えるような日々である。知らされなかった豊洲市場の地下空間、膨れ上がる五輪施設の経費、汚染された豊洲用地を法外なカネをつぎ込んでの買収、これを「誰が決めたか」と執拗なまでの犯人探し。それを明らかにするのが「都政の見える化」だという。豊洲市場に地下空間をつくったのはなぜか、なぜ、そうしたかという本質を抉る説明がないまま、誰がそうしたかという人にこだわる点が小池都政の特徴的な改革の進め方だ。