世の中、「刑事コロンボ」や「相棒」など刑事ドラマの視聴率は高い。犯人探しが面白いからだ。その流れからか、小池氏の進める犯人探し都政も人気が高い。看板の「東京大改革」は都政を透明化し、情報を公開し、都民と共に進める都政の実現ということなので(16年9月都議会の所信表明)、現在の都政運営は公約通りだと言えるかもしれない。

 筆者など都政の経験を持つ者からすると、大仰なこの「東京大改革」という言い方からは、直観的にこの先の「老いる東京」なり、「劣化する東京」をどうするのか、首都直下地震への防災対策をどうするのかといった政策転換の話かと思いきや、ふたを開けると進め方が違う。過去の「負の遺産」をほじくり返しての真相解明が主である。小池氏が言うように「これまで見たことのない都政運営をする」というひとつが、これなのかも知れない。

 筆者の見方は、ここまでの進め方なら東京大改革ではなく“都政大改革”といった方が正確ではないか思うが、そうした理解は間違いだろうか。都政大改革が東京大改革だというのなら、これ以上言わないけれども、どこか誤解を招く表現のような気がしてならない。

 もちろん、小池氏の進める改革には賛成だ。行政の体質改善が重要な点は否定しない。従来の人減らし、事業見直しといった行革とも違う、もう一つの行革手法である点も新鮮だ。”空気のなかで決まった“”みんなで決めた“という、巨大官僚制にありがちなあいまいさを排除したい。それには誰が犯人か、逮捕者を特定するようなやり方が必要という、これも改革手法のひとつだ。ただ、1、2のケースを深掘りし、犯人が特定できないことをもって「無責任体制だ!」と都庁全体にレッテルを貼るやり方はどうか。まさに「大」の付く表現での、このやり方に大衆は拍手を送るが、必ずしも正確な言い方ではなかろう。

 もう、そろそろ1年になろうとする大都政を背負う経営者である。第3者のような物言いを続け、それが支持率確保につながると言っても、一方で節約しながら他方で放漫にカネが出ていく、バランスの悪さを修正すべきではないか。都政をトータルとして経営する、そこに期待したい。これまでの問題提起型の都政はよいが、「問題解決型」の都政にいつ切り替えて行くのか、筆者はそこを見たい。豊洲問題はその大きな踏み絵になろう。

 その一環ともいえるヤマがやってくる。都議会が百条委員会を設置し、3月11日から20日まで断続的に21名証人を喚問する(もし都議会閉会後も継続審査となるなら30名を超える可能性あり)。15年前の東京ガスから東京都が買収した豊洲移転用地の交渉過程を明らかにするため。そのなかに、当然だが当時の石原都知事、浜渦副知事ほか当該事案に関わった都庁幹部(元市場長ら)、売り手側となる東ガスの社長ほか役員、部長ら実務担当者が含まれている。

 ただ、それに先手を打つ形で3月3日、石原氏が単独で記者会見を行った。都知事辞任後初めて、4年半ぶりの公の場での石原慎太郎氏の記者会見。会場となった日本記者クラブには、早々から300名を超える報道陣が詰めかける盛況ぶりだった。
記者会見に臨む、石原慎太郎元都知事=2017年3月、東京・内幸町の日本記者クラブ(松本健吾撮影)
記者会見に臨む、石原慎太郎元都知事=2017年3月、東京・内幸町の日本記者クラブ(松本健吾撮影)
 「果し合いに向かう侍の気持ち」と自宅を後にして臨んだ豊洲市場の整備をめぐる記者会見。ねらいは2つあったようだ。1つは豊洲移転延期の決断をした小池現都知事を叩くこと。もう1つは、自分は用地買収交渉との関わりは少なく、多くは部下に任せたので巷間いわれる「石原犯人説」を否定すること。