五輪施設の計画も含め、各事業に高コスト体質が見られ税金の使い方に対する「甘さ」「たるみ」がみられる。肥満体質とまでは言わないが、少なくも最小の費用で最大の効果を上げる改革努力が各分野で欠落している。この15年間、都政に行革のメスは入っていない。ここを問題視し、小池都政が都民ファーストの視点から都政改革に取り組むなら、ひとつの歴史的な役割として大いに期待される。

 第2は、「都政本来の政策推進」を加速すること。金融都市など経済都市づくりも重要だが、同時にこれまで例のない「老いる東京問題」の解決に立ち向かうことだ。生活都市づくりの視点から格差、貧困、医療、福祉、介護、子育て支援を強化する、古くなった道路、橋、上下水、公共施設など都市インフラをどんどん更新するなど、生活者の不満、不安を解消する手立てを積極的に講じていくことだ。「真の東京大改革」はこうした政策の大転換を図ること、これが改革の本丸ではないか。各界を代表する有識者も交え「都政政策改革戦略本部」を創設し、都庁官僚とタイアップしながら強力な政策推進体制をつくる、これを都民が一番期待しているところだ。

 第3は、「東京の都市内分権」を進めること。とくに1300万都民の3分の2が暮らす23特別区を基礎自治体として強化する観点から都の権限を区に移す都区制度改革を進めることだ。児童相談所を特別区に設置すべきとの政府方針が既に出ているが、都は児童相談所ひとつ移管に応じようとしない。これは一例だが、基礎自治体としての地盤強化を求める分権化の領域は広範囲に及ぶ。この改革は小池氏の政治的リーダーシップが不可欠だ。

 現段階でいうと、上述の3つの「東京大改革」のうち、小池氏が熱心なのは第1の都政大改革だ。猪瀬、舛添都政と「政治とカネ」で失敗した都政が生んだ「閉じた体質」。これを大転換しようというのはひとつの見識だが、現実の大都市はどんどん変化している。いつ襲われるかも知れない首都直下地震への防災対策を含め、広範な都市問題解決に切り込んでいく姿が欲しい。小池氏は第2、第3の領域にもっと力を注ぐべきではないか。
舛添要一元都知事(山崎冬紘撮影)
舛添要一元都知事(山崎冬紘撮影)
 さらに東京は単独で成り立ってはいない。東京圏はひとつだ。この先もっと広域の観点から埼玉、千葉、神奈川とスクラムを組み、環境、防災、交通などの広域政策を展開したらどうか。東京大改革が「東京圏大改革」に進化していくなら、歴代都知事とは違う都政になるのではないか。当面、2020五輪に向けた準備を加速する必要はあるが、石原都政に対抗する意欲を持って小池都政を本格軌道に乗せて行こうとするなら、犯人探し都政を続けるとか、負の遺産処理に汲々とするだけでなく、いま述べた「真の東京大改革」を強力な体制を組んで進めることである。

 大組織の社長は大組織にふさわしい振舞い方がある。東京の大問題には「大都知事」として取り組んで欲しい。わが国初の女性都知事の誕生である。そのよさと都民の期待を最大限生かした大都政がこの先、実現していくことを期待したい。