田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 北朝鮮では大陸間弾道弾の開発が急ピッチに進み、韓国も朴槿恵大統領が失職し、朝鮮半島全体が安全保障の観点から不安定な状態にある。トランプ政権の発足により、従来のアメリカとその同盟国の関係がどうなるのかいまだ不透明な部分が多い。そして日本もまた経済・安全保障面で不安定な部分を多く残す状況にある。

 そんな内外の緊張状況の高まる中で、このひと月以上、国会は「森友学園問題」、そして学園理事長の籠池泰典氏の発言などに振り回されてきた。すでにあまりにも多くの情報が錯綜(さくそう)し、そもそも何が問題なのかさえ不透明になっていて、いたずらに国民の「疑惑」だけが暴走している状況だ。日本のネットをみても、政権を擁護する側と批判する側で対立していて、そこだけを取れば社会は分断化されているようである。

 米、中国など周辺国の発言や政治的・軍事的な動きをみると、朝鮮半島有事は秒読みに入りつつあるかのような緊張感がある。だが、まるでそこから話をそらすかのように野党の大半とマスコミの一部が、森友学園問題を国家的関心事に祭り上げているように筆者には思える。

 ただこの森友学園問題について、今回はこれ以上言及しない。関心のある読者は、筆者のTwitterでの発言や、また高橋洋一氏の詳細で説得的な論説を参照されたほうがいいだろう。ちなみに筆者のTwitterではなるべく多くの情報を集めているが、その姿勢は野党やマスコミに対して厳しいものであることをお断りしておく。

 さて、このような緊迫化する国際情勢もそうだが、やはり筆者には日本経済の行く末が気になる。確かにトランプ政権が発足してから、経済の見通しが一気に改善した。
3月10日の東京株式市場は1ヵ月半ぶりの円安水準を受けて大幅続伸し、昨年来高値を更新した(AP)
 経済の先行きを見る上で重要な、日本の株価や為替レートなどは大幅に「改善」している。これはトランプ政権の財政政策のスタンスと米国の金融政策の動向への「予想」がもたらしたものだ。財政政策も金融政策もアメリカの金利が高止まりする「予想」を告げている。そのため日米の金利格差は拡大し、それが円安ドル高をもたらした。

 ただ今年に入ってからは急速な円安傾向を警戒したトランプ大統領の発言や、先のG20での日米の「通貨安競争」を回避する旨の財務相発言で、円安ドル高傾向はかなり抑制気味になっている。それでもトランプ政権前よりは円安ドル高のままであり、日米の金利格差は「予想」から実体を伴うものに転換していくであろう。なぜなら、アメリカの中央銀行FRBの金利引き上げスタンスと、日本のマイナス金利政策は維持されているからである。