若林亜紀(ジャーナリスト)

 汚職や腐敗と闘う国際NGO「トランスペアレンシー・インターナショナル」(略称TI、本部ドイツ・ベルリン)は今年1月、世界の公務員の腐敗度ランキング「CPI(corruption perception indexの略)」を発表した。

 この指数は、腐敗とは「与えられた権限を濫用して私的利益を得ること」という定義に基づき、各国の公務員や政治家がワイロなどの不正行為に応じると思われているかを数値化してランキングしたものである。世界銀行など複数の機関による調査を組み合わせて集計しており、世界的に知られている。日本の大手企業などが海外に進出する際の贈収賄リスク対策や研修資料として使われており、このデータは毎年1月に更新されている。

 ランキングによると、日本の得点は100点満点で72点、176カ国中第20位。前年は18位であり、その前は15位だったので、2年連続で下がっている。

 腐敗度の低い国をみると、1位はデンマーク、2位がニュージーランド、3位フィンランド、4位スウェーデン、5位がスイスの順だ。例年、北欧勢がトップに並ぶ。逆に腐敗度が高い国は、1位がソマリア、2位が南スーダン、3位が北朝鮮とシリアが同点で並び、次いで5位がイエメンだった。
 デンマークの公務員は、ほとんどワイロに応じないと思われており、一方でソマリアや南スーダン、北朝鮮の公務員はワイロにまみれているということになる。日本の場合、一般市民が公務員にワイロを送ることはあまりないと思われているようだが、データによれば、デンマークほど「清廉」ではなく、フランスよりは「信頼」できるといったところだろうか。

 日本では、政治家による収賄疑惑が毎年のように明るみになる。以前は教員や消防士の採用をめぐり、大掛かりな刑事事件に発展したケースもあった。また、最近でも文部科学省による早稲田大学への「天下り」あっせん疑惑が明らかになったように、役所から発注先や補助金交付先への天下りは慣行化している。これは日本では違法ではないが、国際感覚ではれっきとしたワイロとみなされる。

 トランスペアレンシー・インターナショナルでは「北朝鮮、アンゴラ、スーダン、南スーダン、ソマリア、アフガニスタンなど武力紛争が絶えない国では腐敗認識指数も低く、腐敗と平和は負の相関がある」と分析し、腐敗対策の大切さを訴えている。

 日本と貿易の多い国の腐敗度ランキングをみると、アメリカは18位、中国79位、韓国52位、台湾31位、香港15位、オーストラリア17位、サウジアラビア62位、アラブ首長国連邦24位である。