碓井真史(新潟青陵大学大学院教授)

 森友学園の籠池泰典理事長に関する報道が続いている。様々な疑惑がある中、当初は安倍総理夫妻の信奉ぶりが際立っていた。ところが、今は態度を急変させたかのように、安倍総理夫妻に不利になる情報の発信を始めている。
3月10日、記者会見に臨む学校法人「森友学園」の籠池泰典理事長
3月10日、記者会見に臨む学校法人「森友学園」の籠池泰典理事長
 籠池氏は有能で社会的力のある人だ。そうでなければ理事長にはなれず、大臣と面談もできず、国を動かして国有地を有利な条件で購入することもできなかっただろう。そして、有能で力のある人は、しばしば特異なパーソナリティを持っている。そのパーソナリティも当人の力の一つだ。だが、その特徴は諸刃の剣にもなる。

 大きなことを成し遂げる人々の中には、極めて善良で思いやりがあり、自己犠牲的で社会貢献に励む人たちがいる。その一方、一見非常に魅力的で個性的なのだが、その性格特徴が個性を超えて歪みとなってしまっている人々もいる。

 経営者には「サイコパス」が多いと言う人もいる。サイコパスの人々は、普通の人が感じるような良心の呵責(かしゃく)を持たない。ルールを破ることにも意を介さない。彼らは、まるでゲームを楽しむように支配し、大きくし、力を得ることに邁進する。

 彼らは、目的のためには手段を選ばない。嘘をつく時にも自責の念がないために、堂々と大胆に大きな嘘がつける。まるで真実のように具体的で詳細な嘘もつける。そのため、普通の人が見ればとても偽りには思えない。彼らは、他人の苦しみや悲しみへの共感も少ない。必要があれば、簡単にリストラも行うし、他人を利用することもいとわない。

 彼らは、単なる悪人ではない。乱暴でがさつな人でもない。犯罪者のサイコパスでさえ、日常的には魅力的で有能に見える人々もいる。ましてや、社会的に成功している人々は、ジェントルマンであり、実力者であり、尊敬もされるだろう。ただし社長がサイコパスであれば、部下たちは苦しむことになるだろう。会社は成長し、社長の社会的評価が高まる中で、部下や下請けは泣くことになるだろう。
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