清義明(フリーライター/オン・ザ・コーナー代表取締役)


 国会での証人喚問で話題をさらう森友学園。その騒動ともいえる連日の報道の中で、当の籠池理事長やその妻である諄子氏とあわせて注目を集めた人物がいる。自称「著述家」で、昨年ベストセラーとなった『日本会議の研究』でも知られる菅野完氏である。

大阪府の松井一郎知事と迫田英典国税庁長官の写真を手に
記者の質問に答える菅野完氏=3月15日、東京都港区
大阪府の松井一郎知事と迫田英典国税庁長官の写真を手に 記者の質問に答える菅野完氏=3月15日、東京都港区  
 すでに渦中の人となっていた籠池氏が、外国人記者クラブの共同会見が中止になったにもかかわらず、東京に来た際に訪れたのが、この菅野氏の麻布の自宅マンション。それを追って集まった取材陣の前に現れた菅野氏は、籠池氏に成り代わるようにして自らの主張を述べた。いわく、籠池氏の問題の核心にはこの二人がいると。取材陣のカメラに囲まれた菅野氏は懐から森友学園の土地売却にかかわったとされる迫田英典元理財局長(現国税庁長官)と大阪府の松井一郎大阪府知事の顔写真をプリントアウトした紙を掲げて言い放った。「この人たちこそ悪い奴らなんです」。そして次々と籠池氏本人から得たと思われる疑惑に関する情報を伝えた。

 これを見ていた人たちは、いったいこの籠池氏の代理人のように振る舞い、報道陣の前で頼まれてもいない演説をするこの男は何なのか、と疑問に思うのは当たり前のことだろう。

 その発言を受けた翌日、松井知事は菅野氏について記者に聞かれると、「君らジャーナリストと認めているんか、菅野完を?」と不機嫌そうに記者に苦言を呈した。確かに菅野氏はもともとはジャーナリストではない。しかし、その著作が石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞の奨励賞を受賞したベストセラー作家をつかまえて、彼はジャーナリストに値しないと言い切れるメディアの人間はほとんどいないだろう。むしろ、テレビのワイドショーで苦虫を噛みつぶしたような松井知事の表情をみたものは、かえってそこまで悪しざまにいう松井知事の苦境を想像する人のほうが多いのではないか。

 翌日、その菅野完を読み解くためのもうひとつのヒントもワイドショーで取り上げられていた。正確を期すれば、テレビ画面に映りこんでしまいノイズとして全国に放映されたというほうがいいかもしれない。

 「森友学園がんばってー!!!」

 菅野氏の記者の前での「告発」のあと、参議院予算委員会の議員が森友学園の小学校の建設予定地に視察に訪れた。議員たちが敷地に足を踏み入れた際に、報道陣と詰めかけた人たちで現場は混乱した。対応する籠池氏が議員たちとともに記者の質問に答えているなかで、ヒステリックな女性の金切り声で森友学園を支持する「市民」の声が拾われたのだ。テレビのリポーターの背後から聞こえる、この絶叫ともいえる女性の声は耳障りなほどだった。さっそくネットでは、あの女は何なのかと話題になる。しかも、その他の「市民」の怒声に交じって聞こえてくる絶叫によくよく耳をすますと「元しばき隊の菅野完に騙されないで下さいー!」とも聞き取れる。