福田充(日本大学危機管理学部教授)

 現在、国会で問題となっている森友学園騒動は、渦中の籠池泰典理事長の国会証人喚問という事態にまで発展した。本来、この騒動の中心は、国有地払い下げ問題であり、大阪府の認可申請の経緯であるが、不当に格安な価格での払い下げかどうか、大阪府の認可申請プロセスに瑕疵があったかどうかも未だ検証されておらず、何らかの判断を下すことはできない。

 まず、これらの疑惑の本丸が解明されるべきであって、これに付随して発生した、昭恵夫人の寄付疑惑も、塚本幼稚園における教育勅語の問題も、籠池理事長をはじめ、籠池ファミリーによってリードされてきたワイドショー的なゴシップに過ぎず、むしろ昭恵夫人は籠池ファミリーに利用された犠牲者という側面があることを忘れてはならない。一部の野党やマスコミが安倍首相を退陣に追い込むために作り上げた「政局ショー」であり、この政局ショーはテレビの視聴率や新聞、雑誌の部数を伸ばそうとするマスコミと一部政治勢力の「共犯関係」によって成り立っている。

 では、なぜ籠池ファミリーという極めてダークな人脈に、昭恵夫人は利用されてしまったのか。
 昭恵夫人によるこれまでの政治運動、社会活動への関与は、「行動するファーストレディ」というイメージを構築してきた。筆者自身も参加した東日本大震災に関連するイベントで、昭恵夫人と同席した際に見たのは、晴れやかで活発に被災者の若者たちと触れ合う、まさに天真爛漫な姿だった。

岩手県西和賀町で講演する安倍昭恵首相夫人。
被災地での防潮堤建設について疑問を呈した=3月12日午前
 東日本大震災後には反防潮堤を表明し、オスプレイ用ヘリパッド建設に対する抗議活動が続く沖縄県高江を訪問するなど、昭恵夫人の行動はこれまでメディアや野党勢力によって好意をもって迎えられたこともあった。「家庭内野党」といったキャッチコピーで表現されたこの首相と夫人の関係も、安倍首相と昭恵夫人の好感度をあげる新しい政治家夫婦のイメージを定着させることに貢献してきたといえる。政治的発言を控え、首相を家庭や地元選挙区で支える影の存在としての首相夫人という、古いイメージは破棄されて刷新された。そのことを、安倍首相も自民党政権も容認してきたはずである。

 そうである以上、首相夫人=ファーストレディという立場の昭恵夫人が日々どのような団体、組織に招待され、どのようなイベントに参加するかは、極めて重要なマネジメントであり、そこに危機管理(リスク・マネジメント)の観点は不可欠である。公的立場からの寄付であれば手続き上合法的な処理がなされ、私人として寄付を行えば、金銭的な不法行為も発生しない。