栗山英樹(北海道日本ハムファイターズ監督)

 プロ野球・北海道日本ハムファイターズの監督就任から5年。若手中心のメンバーを育て上げ、ついに日本一へと導いた、そのチームマネジメントの手腕は、ビジネスマンにとって大いに参考になる。一人ひとりの力をいかに引き出せばいいのか、組織をどうまとめ、強化していくべきなのか、お話をうかがった。

「何が選手のためか」考え、あえて過酷な決断も


 北海道日本ハムファイターズの監督に就任した1年目にリーグ優勝。以来、常に優勝争いに絡めるチームを作り上げ、就任5年目の昨年には、ついにチームを日本一に導いた栗山英樹監督。大谷翔平選手や中田翔選手を、球界を代表する選手に育て上げた手腕も評価されている。栗山氏はいつも、何を一番大切にしながら、チーム作りを行なっているのだろうか。

「僕が監督として一番に考えるのは『どうすればこの選手を輝かせることができるのか』『何がこの選手のためになるのか』ということです。親のように選手の可能性を信じ、将来を見据えたうえで今ベストな選択を考えるのです。選手からどう思われているかはわかりませんが、この信念は新人監督だったときから変わりません。

 とはいえ『本当にその選手のためになることを行なう』というのは、実際にはすごく難しいことです。うちのチームに、西川遥輝(にしかわはるき)という選手がいます。2014年のシーズン終盤、2年連続で盗塁王を狙えるチャンスがあった時期に、彼を2軍に落としたことがありました。それが彼のためになると思ったからです。

 長打力もあれば流し打ちもできるという優れたバッティングセンスの持ち主である彼は、その器用さゆえに、自分のスタイルを定めることができず、打撃成績が低迷していました。このまま中途半端な状態で盗塁王を取らせるよりは、一度どん底を経験させることで、悔しさの中からもっとがむしゃらに自分と向き合う機会を与えようと思ったのです。

 そのときの決断は本当に悩みました。もちろんシーズンの個人成績も大切です。でも最終的に『将来のことを考えたら、そのほうが遥輝のためになるはずだ』と考え、決断したのです。

 その経験もあってか、今の遥輝は自分のかたちを見つけつつあります。だから昨年の日本シリーズでサヨナラ満塁ホームランを打ったときはすごくうれしかった。あの試合の勝利監督インタビューで、目がうるっときていたのはそのためです」