2012年12月25日、投手、打者の二刀流を目指し
日本ハムに入団、ユニフォームを着てポーズをとる大谷翔平選手
(撮影・高橋茂夫)
 結局、大谷はドラフト指名を受けた日本ハムに入団しましたが、私は賢明な選択をしたと思います。現行制度なら入団9年で海外FA権を取得するしかメジャーに行く方法はなく、ならば高卒で海を渡った方がよかったと思います。でも、ポスティングがあるからこそ、日本ハムは「ウチに来て可能性を追求したほうがいい」と大谷に二刀流の提案ができたんだと思います。二刀流という具体的な育成法は、綿密なスカウティング網と戦略を持っていた日本ハム以外では提案できなかったし、いわば組織力の勝利だと思いますね。

 しかも入団4年目で10勝、20本塁打を達成した上で日本一に貢献したわけですから、球団も思ってもみないほど順調に来ていると考えているでしょう。想定外は今回のWBCに出られなかったことぐらいで、彼の活躍で世界一を奪還すれば、商品価値は計り知れないほどになっていたでしょうから、その点だけが残念ですね。

 今オフにも海を渡る可能性のある大谷に関して、一番の興味はメジャーでも「二刀流」ができるかどうかということでしょうね。ただメジャーは契約社会ですから、本人が二刀流を望めば、応じる球団は少なくないでしょう。もし大谷が「二刀流OK」の球団としか交渉しないという希望を出した場合、たとえ名門ヤンキースであっても二刀流が飲めなければ争奪戦に参加できない、それほど大谷は「売り手市場」なんです。

 二刀流か投手野手一本に絞るかは分かりませんが、入団前から自分のやりたいことができるでしょうし、球団は彼の希望を叶えるはずです。そして、彼の代理人が投手と野手の2人分の年俸を算出したり、何年後には投手に専念するといった戦略を練って大谷主導で契約できる、それほど価値のあるプレーヤーは他にはいないですね。本来であれば、先発なら先発、抑えなら抑えしかプレーしない契約を結ぶわけです。日本では昨シーズン、大谷のチームメートの増井浩俊投手が抑えから先発に回って10勝を挙げましたが、契約書にないようなシーズン中の配置転換はメジャーでは有り得ません。万が一、起用法が原因で選手生命に影響を及ぼすケガをしたら裁判になってしまいますからね。

 もし、私が大谷の代理人でアドバイスできるとすれば、メジャーリーグでも二刀流を続けるべきだと勧めます。日本のプロ野球の歴史に名を残したイチローの活躍で、ファンの誰もが日本人初の野手のメジャーリーガーとして、最高峰のステージで安打を積み重ね、次の塁を狙い、レーザービームをする姿が見たくなったのと同様に、大谷にしてもメジャーの強打者相手に165キロの速球で三振を奪い、豪腕投手からホームランを打って欲しいと考えているでしょう。投打の両方でそう思わせるほどのポテンシャルがある世界最高峰のプレーヤーですから、挑戦する前からどちらかに絞るなんてもったいないと思います。 

 メジャーでも二刀流を追求する姿を見たいし、世界中で野球をしている子供たちに大きな夢を与えて欲しい、心からそう願ってます。