アベノミクスは、消費税10%への再引き上げを見送ったという点では財政再建の面からも、デフレ脱却で力強い経済成長の道筋を示すという面からも失敗に終わりつつあると考えてなんら問題ないでしょう。

 いろんな意味で、できることは全部やったのが安倍政権であり、日本人にとっては打った博打が外れてオケラ街道を歩くことになった現実を受け入れざるを得ません。それでも前を向いて改革を安倍政権に託すか、改めて非自民の力量に期待して再度の政権交代を目指すか、「どちらが悪くないか」という異常に消極的な選択を有権者は迫られることになります。

 巷では、アベノミクスがどうのこうのというより、ごく単純にリセッション、景気循環における不況に陥っているのではないかという見方も出てくるようになりました。ただ、低成長を長らく続けてきた日本は、悪い意味で不況慣れしており、苦しいデフレ環境下で慎ましく暮らす方法に長けてしまったとも言えます。

 各種インジケーターとしてはあまり楽観視できる状況になく、公示前の調査においても景気問題や生活の不安が断然トップの状況での解散でして、増税見送りで野田政権からの三党合意後の是非を問う形になっております。

 それでもなお現状では各選挙区においては与党やや優勢は変わらないのですが、非常に揺らぎが大きいように感じている次第です。今回の選挙においては、本当の意味で太い争点の芯が見えていません。解散の理由も消費税増税が延期といっても国民に争点としてははっきりとは伝わらない。前回のような民主党政権に対する懲罰もなければ躍進できそうな政策に対する期待感もない中で、無党派層が拡大しているというよりはどこに投票しても打開策が見出せそうにないという非常にたそがれた選挙戦に突入しつつあるからです。

 今回は安倍政権特有の「投げ出し」でないことを期待するほかないわけですが、選挙に勝った後で、本格的に景気が後退→消費税引き上げ再延期からの社会保障制度の破綻が起きるとシャレにならないぐらいに日本全国夕張化する可能性もあるので、正直いろんなものを考え直す必要があるのではないでしょうか。

 この前、都議のおときたさんが面白いレビューを書いておられたので、真のダークツーリズムにご関心のある方はぜひご一読ください。

「燃えるゴミ」が燃やせない町・夕張に、暗い日本の未来をみた

 本来問うべき争点というのは消費税増税そのものではなく、また消費税が財政再建にどう資するかでもなく、100兆円を超えて膨れ上がった社会保障費の抜本的な見直しと、年100万人を切るであろう新生児をいかに増やすかです。下手をすると、このまま日本の国力が衰退し、社会保障制度が破綻するぞということになると、それこそ「子供をもうけることが最大の社会保障」という時代に戻りかねません。敗戦もそうでしたが、そういう壁にいちいち強く頭をぶつけないと我が国は自らの変革を促すことはできないのでしょうか。

 おそらくは、国力の衰退を国民が認識し、受け入れる準備をする選挙になるのかもしれません。それは、もうこれ以上老人を支えることのできなくなった社会が、無理に無理を重ねていままでやってきて、言い逃れのように「経済成長すれば財政はいずれ均衡する」と念仏のように唱え続けて現実逃避し、埋まるはずのない大きな穴を放置した結果が現在の体たらくであるとも言えます。老人は票田であることに違いはないけれど、同時に回収の見込みのない老人に医療費を突っ込んで長生きをさせても、生産性がない以上は社会にとって負担にしかならないという現代の姥捨て山問題待ったなしの情勢であることはまじめに議論しても良いと思うのです。

 解散自体に大義名分があるとはとてもいえないけど、今回もまた日本の将来を占う本当に大事な選挙になるかもしれないです、が、与党がああで、対抗するべき野党もああというのは日本人にとって最大の不幸といえるのではないでしょうか。

 もちろん、政治家各氏が本当に意欲のない無能だとはとても思えません。それだけ、我が国の現状で解決するべき問題が山積していることの証左だろうと感じます。社会保障費、本当にどうするんでしょう。このテーマについては、財源問題とセットで各党各政治家の意見をじっくり聞いて、一人の有権者としてきちんと判断していきたいと思います。