一方で、30歳になろうとする男性から「来月、4年間付き合った彼女と結婚するのだが、ここ3年くらい彼女とはセックスレス」という話を聞いたことがある。思わず、それで結婚して大丈夫なのかと問うと、彼は平然と「子作りセックスはしますよ」と言った。

 家庭を一緒に作ると決めた女性に対しては、男は急速に性的魅力を感じなくなっていくのだろうか。子作りセックスはしても、快感を得るための、あるいはコミュニケーションとしてのセックスはしなくていいと思うのだろうか。

 長年連れ添った夫婦がそういう心境になるならともかく、これから結婚しようという人がすでに「子作りセックス」と「快楽セックス」を分けていることに愕然(がくぜん)とした。彼いわく、快楽を得るためのセックスは、妻となる人とはできないというのだ。結婚を「神聖視」しすぎているのか、あるいは快楽を得ることにどこか罪悪感を覚えているのか。
 さらにその一方で、今の50代、60代の男性たちは「恋をしたい」「ステキなセックスをしたい」と真顔で言ったりする。置き忘れてきた恋愛感情や、お互いに相手への温かい気持ちをもって抱き合うことへの憧れがあるように思える。だが、妻はそれには応えてくれない。今さら誘うにも照れがあってできない。

 セックスレス社会がヤバイとは思わない。「セックスレス=少子化」ととらえられがちだが、そもそも子どもを産むか産まないかは個人の生き方における選択肢の一つだ。したくない人はしなければいいし、したい人はすればいい。

 ただ、繰り返しになるが、カップルとして考えたとき、片方がしたくて片方がしたくないのが一番の問題なのである。その場合は、やはり正面切って話し合うしかないのだろう。

 「うちも話し合ったんですよね。私がしたくて夫がしたくないと言うから、しないなら外でしてきていいかと尋ねたんです。そうしたら、それはイヤだ、マスターベーションで我慢してほしい、と。それは通らない。私がしたいのはセックスであってマスターベーションではないと、はっきり言いました」

 そう話してくれたのは、40歳になったばかりのエリコさん。ちょうど元カレと再会したばかり。このままだとセックスの関係になりそうなのだという。

 「もちろん夫には内緒にしますが、おそらく今度、元カレと会ったらしちゃうと思います」

 エリコさんはそう言った。男たちは女性の性欲を甘く見過ぎているのではないだろうか。女はセックスしなくても平気なのだと思いすぎてはいないだろうか。

 妻に「セックスしたくないから、外でしてきて」と言われた夫もいるのだが、彼は風俗が苦手。本気で恋愛したら家庭を壊すのが目に見えているので、まだ高校生と中学生がいる身では自重しなければならないとつぶやいていた。

 セックスレス社会はヤバくなくても、セックスレスカップルはヤバイのだ。