2017年04月14日 17:25 公開

ヘザー・チェン、BBCニュース

「私の家では、会話の中に美しさがあります。言葉の使い方に。(略)言葉はブロークンで壊れているというよりも、感情が噴き出ている。少しごちゃごちゃしています。でも私たちはここで暮らすことに決めたんです」

17歳のカサンドラ・シャオさんがつづった言葉だ。大学受験用に書いたレポートが、米国や世界各地で、複数の大学から注目された。

マレーシア出身で今は米カリフォルニア州に住むカサンドラさんは、移民の家庭で育ちながら苦労して英語を学んだ奮闘記を提出した。

その結果、ハーバード、プリンストン、イェールなどアイビーリーグの名門大8校すべてから、合格通知を受け取った。どの大学にするかまだ決めていないが、今後数週間の間にそれぞれの大学を訪問をするつもりだという。

「アイデンティティの問題、そしてどこかに場所を得たいという願いは、大勢が直面する、共感しやすい闘いです。私はうちの家族の暮らしや、母親との関係、母と私の話を、分かち合いたいと思ったんです」 カサンドラさんはBBCニュースにこう話した。

カサンドラさんの父親は台湾人で、母親はマレーシア人。マレーシア南部のジョホール州で育ち、5歳の時に家族で米国に移住した。

「マレーシアが懐かしいし、しょっちゅう故郷のことを考えます。小さい頃は凧揚げが大好きでした。ほかには、市場に行ったり、爆竹を鳴らしたり。子供の頃は中国語とマレー語と英語をごちゃまぜにして話しました」

しかし、外国で言葉の壁に立ち向かうのは大変だった。受験用のレポートでカサンドラさんは、自分の母親が学校で「屈辱的」な思いをしたことについてつづった。お母さんは英語で書いたレポートを教師に批判され、同級生たちにもけなされ笑われたのだという。

けれども同級生の中には、親切に助けてくれる人もいたとカサンドラさんは書いた。「この女性は何かにつけて、うちの母親の面倒をみて、辛抱強く母の言葉を直してくれた。弱い人間を守り、言葉を使ってやり返してくれた」。

とはいえ、それだけでは済まされなかった。「母に、きちんとした英語を教えてほしいと頼まれた。そうすれば、スーパーで白人のおばさんたちに発音を笑われないからと。決して楽なことばかりではなかった」

「母のブロークンな言葉を訂正し、つなぎ直す作業には、一定の罪悪感が伴う。長母音、二重子音……。私自身もまだ学んでいる最中なのに。母のプライドを傷つけないようにするため、ブロークンな英語をそのままにしたこともある。けれどももしかすると、自分の気持ちを守りたい一心で、むしろ母をもっと傷つけていたのかもしれない」

こう書いた自分のレポートについて、カサンドラさんは「自分にとって大事な価値そのものを表現している。つまり、声なき人を応援することです。自分自身の声もまだはっきり分からないのにと思ったとしても、それでも」と話す。

大変な思いをした甲斐があり、カサンドラさんは優れた成績で卒業。母親は娘のあげた成果を誇らしく思っているという。

「大学の合格通知を次々に開封して、娘と一緒に泣きました。内面の成長と見識の深さを、娘はきちんと表現したので。勉強だけでなく、他の人との関係においても」

カサンドラさんも母親を敬愛している。「母は私のお手本です。浮足立つことなく落ち着いていられるのは、母親のおかげ。大きな夢を抱くだけでなく、夢の実現のために行動するよう教えてくれました。母親は生きることに情熱を抱いていて、大胆で、思いやり深くて正直です。そういうところが大好きなんです」。

多数の名門校に合格したカサンドラさんについて、ネット上で情報が拡散するようになり、ソーシャルメディアでは大勢が彼女の成功を祝福した。

フェイスブックでは、リオン・バークさんが「アイビーリーグ8校すべてに合格するなんてすごい。レポートを読むと、あなたほどふさわしい人はいないと思った」と書き込んだ。

ツイッターではアーデン・チョーさんが「本当に美しい、素直なレポート。自分の経験と自分自身を受け入れたところが、すごく好きだ」と書いた。

「語り手として見事。作り事ではなくてあくまでも本当にあった話、共感しやすい話をしながら、物語を展開しているところがすごく好き。どこに行くにせよ、あなたがその才能と情熱と勤勉さをこれからも育てられるよう、選んだ大学が手助けしてくれますように」という書き込みもあった

シンガポールのシンシア・ローさんは「うわべだけの薄っぺらいことで有名になる若者の話はしょっちゅう聞くが、カーダシアン一家が有名になるこの時代に、本当に努力をした人がニュースに取り上げられるのは素晴らしい。お見事」と称賛した。

ではカサンドラさん自身は、自分と同世代の若者が批判されることについてどう思っているのだろう。

「自分と同年代の人たちと同じ時代に生きているのは、名誉なことです。若い人たちはこれまで以上に、声を上げることは大事だと気づいています」

「私たちの世代は自分の信じることのために立ち上がり、立ち向かうことを恐れません。私たちは未来そのもので、未来は明るいです」

(英語記事 The girl with eight Ivy League college offers