米国は核施設とミサイル施設への限定攻撃について、「北朝鮮は米国に届く核とミサイルを保有している、と明言した」から、「米国への重大な脅威だ」と説明するだろう。しかも攻撃は潜水艦や空母などの艦船から行われ、在韓米軍基地や在日米軍基地は使わない。とすると、北朝鮮は韓国を攻撃する法的理由に欠ける。

 金委員長が核実験に踏み切っても、トランプ大統領は限定攻撃できないと判断すれば、ミサイルと核の実験が行われる。どう判断するのか。米国が核施設を単独攻撃すれば、在韓米軍基地や在日米軍基地への報復が予想され、被害を無視できないとの指摘がある。その可能性は否定できない。ただ、70万トン程度の石油では全面戦争はできない。

 北朝鮮が最も恐れるのは全面戦争だ。もし在韓米軍基地や在日米軍基地を報復攻撃すれば、米国は全面的攻撃を行う。限定攻撃の際には、北朝鮮の連絡網や指揮伝達の回線やコンピューターも使用不能になる。反撃は簡単でない。

 ティラーソン米国務長官は、12日にロシアを訪問しプーチン大統領とも会見したが、露首脳は北朝鮮への米国の限定軍事攻撃に、反対の立場を明らかにしなかった。習主席も電話会談で「平和的な解決」を求めたが、「軍事攻撃反対」とは言わなかった。習主席に近い人民大学国際関係学院の時殷弘教授が、昨年9月に「米国が核施設だけの攻撃で、金委員長に影響がなければ中国は黙認する」と述べたと、台湾の中国時報が伝えていた。金委員長に対する中国の冷たい雰囲気が反映されている。金委員長は習近平主席に何度も招待状を送ったが、全く返事がない。

 「石油禁輸」は、安倍首相がトランプ大統領に強くアドバイスした戦略である。安倍首相は、北朝鮮への効果的な制裁策を聞かれ、「中国の対北石油全面禁輸」を伝えた。
2月10日、ワシントンのホワイトハウスでトランプ米大統領(左)の出迎えを受ける安倍首相(ロイター=共同)
2月10日、ワシントンのホワイトハウスでトランプ米大統領(左)の出迎えを受ける安倍首相(ロイター=共同)
 実は、北朝鮮の対応はかなり弱気だ。米国のシリア攻撃直後には、外務省スポークスマン談話で米国を激しく非難し、「核武力強化は正しかった」と述べた。ところがその後は沈黙を守り、4月11日に10カ月ぶりに開かれた最高人民会議でも、米国非難はもとより日米韓三国に言及すらしなかった。