「弾道ミサイル防衛能力強化のための新規アセットの導入」は下記の通りだ。 

イージスアショア(陸上配備型イージスシステム)やTHAAD(終末段階高高度地域防衛)の導入の可否について成案を得るべく政府は直ちに検討を開始し、常時即応体制の確立や、ロフテッド軌道の弾道ミサイル及び同時多発発射による飽和攻撃等からわが国全域を防衛するに足る十分な数量を検討し、早急に予算措置を行うこと。また、将来のわが国独自の早期警戒衛星の保有のため、関連する技術開発をはじめとする必要な措置を加速すること。

 これは、従来の防衛予算の大綱・中期防、歳出化予算、概算要求といったことではなく、災害対応で予備費を充当するといった大胆な発想で早急に政府の決断を求めている。

あわせて、現大綱・中期防に基づく能力向上型迎撃ミサイルの配備(PAC-3MSE:平成32年度配備予定、SM-3ブロックⅡA:平成33年度配備予定)、イージス艦の増勢(平成32年度完了予定)の着実な進捗、事業の充実・更なる前倒しを検討すること。

 次が「わが国独自の敵基地反撃能力の保有」で、この点がマスコミに「敵基地能力の検討を提言」と大きく報道されたところである。

 これは、従来からの敵基地攻撃とか策源地攻撃などについては議論されてきたが、今回は責任ある与党・自民党から「わが国独自の敵基地反撃能力の保有」が打ち出されたことで、野党から従来の日本の防衛政策の変更ではないか、例えば、民進党の安住淳代表代行の「専守防衛に徹してきた今までの流れを根本から変えていく話なので、私は反対だ」との発言など、専守防衛と逸脱するのではないかと言った批判がある。

 専守防衛は「憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢」とされ、「相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保有する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限ること」を意味している。

オスプレイを使って自衛隊員らが日米共同訓練を行った=2013年10月、滋賀県高島市(松永渉平撮影)
オスプレイを使って自衛隊員らが日米共同訓練を行った
=2013年10月、滋賀県高島市(松永渉平撮影)
 これをさらに具体的にすると「政府は、わが国に対して誘導弾等による攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのにやむをえない必要最小限度の措置として、他に手段がない場合に発射基地を叩くことについては、従来から憲法が認める自衛の範囲に含まれ可能と言明しているが、敵基地の位置情報の把握、それを守るレーダーサイトの無力化、精密誘導ミサイル等による攻撃といった必要な装備体系については、「現在は保有せず、計画もないとの立場をとっている。」とのことである。したがって、「わが国独自の敵基地反撃能力の保有」は憲法上からも専守防衛の観点からも可能と言うことになる。

 従来からの敵基地攻撃とか策源地攻撃などの用語は、先制攻撃ではないかとの誤解が生じる恐れがあることから、今回「敵基地反撃能力」として、先制攻撃ではないことを明確にした。

 先制攻撃は、武力攻撃が発生する前に武力行使をするものであり、わが国の憲法上はもとより、国際法上も許されるものではない。今回自民党の提言に盛り込んだ「わが国独自の敵基地反撃能力」については、こうした先制攻撃を考えるものではなく、このことを明示する趣旨で敵基地「反撃」能力との用語を用いた上で、これまでの法理上の解釈に基づき、かつ日米同盟の抑止力・対処力の一層の向上を図る観点から検討すべきとしたものである。