日本の防衛政策は、自衛隊と米軍が、いわゆる「楯と矛」の関係性の中で日本の防衛を行っている。つまり、自分の国を守るという「楯」としての役割は自衛隊が担っている。一方、相手から攻撃された場合、では相手の国を攻撃するにはどうすればいいのかというと、全面的に「矛」としての米軍に依存するということになっている。

 これが今の日本の防衛政策の仕組みだが、今回のトランプ米新政権が同盟国に対して自助努力を促していることからも、提言では「北朝鮮の脅威が新たな段階に突入した今、日米同盟全体の装備体系を駆使した総合力で対処する方針は維持するとともに、日米同盟の抑止力・対処力の一層の向上を図るため、巡航ミサイルをはじめ、わが国としての『敵基地反撃能力』を保有すべく、政府において直ちに検討を開始すること」とした。

 三つ目が「排他的経済水域に飛来する弾道ミサイルへの対処」で、提言の内容は「昨年8月以降、北朝鮮は3度にわたりわが国の排他的経済水域内に弾道ミサイルを着弾させており、航行中の船舶への被害は生じなかったものの、操業漁船が多い海域でもあり、わが国船舶等の安全確保は喫緊の課題である。





 

 このため、弾道ミサイル等の脅威からわが国の排他的経済水域を航行しているわが国船舶等の安全を確保するため、政府は、当該船舶に対して、航行警報等を迅速に発出できるよう、直ちに検討すること。また、これらの船舶の位置情報の把握に関する技術的課題や当該船舶を守るための迎撃を可能とする法的課題について検討すること

 これは、排他的経済水域内には、わが国の船舶が多く所在し、これらの安全を確保することは極めて重要と考えている。

 一方、これらの船舶がどこに所在するかを精緻に把握することは難しいことから、今回の提言では、この船舶の位置情報を把握する技術的課題の検討とともに、迎撃のための法的課題の検討についても検討すべき旨を盛り込んだ上で、船舶への航行警報を迅速に発出するための検討に直ちに着手すべきとした。

自衛隊と米軍の共同訓練でボートで沖縄本島東方の浮原島に上陸し、米兵ら(左)と担架を運ぶ自衛隊員=2016年11月7日
自衛隊と米軍の共同訓練でボートで沖縄本島東方の浮原島に上陸し、米兵ら(左)と担架を運ぶ自衛隊員=2016年11月7日
 法的課題の検討とは、具体的に現在の自衛隊法第82条の3の規定による弾道ミサイル等に対する破壊措置は「我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止する」ことを目的とし、「我が国に向けて現に飛来する弾道ミサイル等」を破壊するためのものであるため、排他的経済水域(EEZ)に落下する弾道ミサイルについては、同条の規定による措置を取ることはできないとの課題がある。

 この点については、技術的課題に係る検討と併せ、政府において検討を進めてもらいたいとの提言である。今回の自民党の「弾道ミサイル防衛の迅速かつ抜本的な強化に関する提言」は、現憲法下で許容される範囲のもので、専守防衛を逸脱したものではない。今後は、国民の生命と財産をしっかりと守るためにも憲法改正を急ぎ、国際標準の防衛法制及び政策の策定が喫緊の課題となっている。