なお最後に、中国が果たすべき役割について触れておく。日本やアメリカは、中国に役割を果たさせるため何をすべきかという問題も含めてだ。

 北朝鮮の核、ミサイル開発を止めさせる上で、中国の役割が大きいと言われる。いくら国連が経済制裁を決めても、北朝鮮の輸出入の相手国がほとんど中国だけという現状では、中国が本気にならなければ効果は薄いものになるのは事実だろう。

 ただ、中国に経済制裁の協力を本気で求めるには、中国が被る損失を誰がかぶるのかという問題は避けて通れない。日本やアメリカは、自分たちが中国の損失をかぶる覚悟があるのかということだ。

 中国は現在、本来は受け入れるべき政治難民にあたる脱北者でさえ、拘束しては北朝鮮に戻しており、国際社会から批判を受けている。経済制裁が効いてくることになると、経済的に困窮した大量の難民が中国に逃れて来るのは目に見えている。
中国全人代の全体会議で、言葉を交わす習近平国家主席(右)と張徳江・全人代常務委員長=3月12日、北京の人民大会堂(共同)
中国全人代の全体会議で、言葉を交わす習近平国家主席(右)と張徳江・全人代常務委員長=3月12日、北京の人民大会堂(共同)
 その対策を中国任せにするという態度では、中国を本気にさせることはできない。日本やアメリカは、そこまで考え抜いて、経済制裁の実施を提唱すべきだろう。自分たちも費用を分担したり、難民を受け入れるのかという覚悟も必要になる。

 同時に、中国を本気にさせようとしたら、現在のような先制攻撃路線は百害あって一利なしだ。中国は、制裁が北朝鮮の体制崩壊につながることを心配していると言われるが、実は最も懸念しているのは「在韓米軍の緩衝地帯」がなくなることである。

 朝鮮半島が統一されれば、米軍の駐留を受け入れる国家が目の前に立ち現れることなる。軍事的な選択肢で北朝鮮が崩壊するようなことになれば、それを遂行した軍隊がそのまま占領し、継続して駐留するようになるであろうことは容易に推測できる。

 これを逆の角度から見ると、中国を本気にさせることができるとすれば、経済制裁の結果として北朝鮮が崩壊するようなことがあっても、その際は韓国から米軍が撤退すると分かった時だけだろう。アメリカにその気はあるのだろうか。中国を本気にさせるというが、いま問われているのは「アメリカの本気度」のように思えてならないのである。