片山修(経済ジャーナリスト)

 世界でも高水準といわれる日本の物流網が軋(きし)み始めた。一体、物流の現場で何が起きているのか。

 軋みの原因は、宅配便の急激な増加だ。中でも、インターネット通販の急成長による荷物の急増だ。その象徴がネット通販国内最大手、アマゾンジャパンであり、同社の荷物量は年間で4億5000万個にも上るといわれる。

 アマゾンの荷物は過去、宅配便業界2位の佐川急便がメーンで引き受けていた。ところが2013年、佐川急便はアマゾンとの値上げ交渉が決裂して撤退した。その後を受けて参入したのがヤマト運輸だ。佐川急便は撤退後、取り扱い個数は減ったが、利益率は上昇した。逆にヤマト運輸は個数が格段に増加したが、利益率は減少したのである。
 というのは、ヤマト運輸のさばく宅配便全体のうち、アマゾンの荷物は1割から2割、年間約2・5億個から3億個とされる。ヤマト運輸は現在、アマゾンと独自の契約を結んでおり、アマゾンの荷物の平均配送単価は、15年度の宅配便全体の平均578円の半分程度といわれている。

 ヤマト運輸に限らず物流業者は、人手不足で荷物をさばききれないため、配送を他社に委託せざるを得ず、委託費が収益を圧迫する「豊作貧乏」状態にある。

 利益があがらないので、ドライバーは当然「低賃金」に甘んじることになり、いよいよもってドライバー不足に拍車がかかる悪循環に陥っているのが現状だ。

 問題の解決には、荷受け抑制のための料金の引き上げが焦点になる。現にヤマトは、今年9月末をめどに、27年ぶりに個人向け宅配便の基本料金の引き上げに踏み切った。次のポイントは、大口顧客のアマゾンとの値上げ交渉である。

 ヤマト運輸のセールスドライバーは、昼休みも業務に追われ、連日15時間以上働くような状態で、現場からは悲鳴が上がっている。サービス残業の常態化による残業代未払い問題まで起きているのだ。

 ドライバーなど現場にこれ以上の負担を強いることができないヤマト運輸は、アマゾンに対して強い姿勢で交渉に臨むというが、どんな駆け引きが展開され、いかなる結論に至るのか。「巨人」アマゾンが相手だけに、予断は許されない状況にある。