宅配便最大手のヤマト運輸が苦境に陥るほど、物流の現場が混乱している背景には、大きく二つの原因がある。

 一つは深刻な人手不足だ。少子高齢化、人口減少社会の中、1995年に約8700万人だった生産年齢人口は、15年に約7700万人、65年には約4500万人にまで減ると試算されている。

 中でも物流や建設など、いわゆる3K(きつい、危険、汚い)職場の人手不足は深刻だ。ヤマト運輸のセールスドライバーは、全国に約6万人といわれ、現在も増員中だが、荷物の増加には追いつかない。

 もう一つは、前述したように、インターネット通販の普及による宅配便の急増だ。国内の宅配便などの取り扱い個数は、10年前に比べて30%近く増加している。ヤマト運輸の16年度の個数は18億6756万個を数えた。
荷物を台車で配送するヤマト運輸の従業員=東京都中央区(伴龍二撮影)
荷物を台車で配送するヤマト運輸の従業員=東京都中央区(伴龍二撮影)
 宅配便急増の背景として指摘しなければならないのは、社会構造の変化だ。

 全商取引金額における電子商取引の占める割合は5%近くに達し、宅配便サービスは今や社会インフラ化しているといえる。実際、若年層や共働き世帯などにとって、必要なものをスマートフォンから手軽に注文し、指定した時間に受け取れるネット通販の利便性は捨てがたく、今後、ますます需要は増えると考えられるが、現状のままでは物流崩壊は避けられない。 

 では、質の高い宅配サービスは、どうすれば維持できるのか。正直、妙案はない。

 物流業者はもちろん、ユーザーである企業や受取人、行政などができることを一つひとつ積み重ねた上にしか、サービスの維持はできない。

 宅配業者を悩ませる問題の一つが、2割近くにのぼる再配達率だ。寝起きや化粧をしていないといった理由で「居留守」を使うケースも少なくないといわれている。いかにして再配達率を下げるか、知恵を絞らなければいけない。

 例えば、物流業者は再配達の3度目以降の料金を追加するなど、適正なサービス対価を受け取ることを考えるべきだろう。現に西友は、ネットスーパーの再配達時に手数料400円の上乗せを始めた。日本郵便と楽天は近々、初回の荷物受け取りで楽天ポイントを付与するサービスを開始するという。