ネット通販の拡大によって、宅配市場は急成長を遂げたが、現場のドライバーたちにとっては、ただ負担が増すばかりだった。アマゾンやユニクロへの潜入取材で話題を呼ぶジャーナリストの横田増生氏が、ヤマト運輸や佐川急便に潜入して著した『仁義なき宅配』(小学館刊)で体感した現場の過酷さとは──。

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 現場が疲弊する最大の理由は運賃の低下にある。業界のシェア50%近くを握るヤマト運輸の2000年の1個当たりの平均運賃単価は740円台だった。それが直近の単価は570円台まで下がっている。2割以上の下落である。

 運賃下落の最大の要因は、アマゾンをはじめとしたネット通販各社への大口割引にある。多くのネット通販が、送料無料を掲げるが、実際はネット通販の運賃を肩代わりして支払っている。しかし、利用者から送料を受け取らないだけに、宅配各社へ支払う運賃は低く抑えられる傾向が強くなる。

 そのなかでも、アマゾンからヤマト運輸が受け取る運賃は300円前後となり業界で最安値の水準にあるといわれている。しかし、出荷個数は3億個前後で、ヤマト運輸の取扱個数の約2割を占める。宅配便業界が“豊作貧乏”に陥っている理由がここにある。
 2016年に辞めたヤマトのドライバー2人は、「アマゾンの荷物がなければ辞めてなかっただろう」と口を揃える。

 アマゾンからの荷物は、数が多いだけではなく、荷物が各宅急便センターに届くタイミングも遅い。通常、センターには、毎日3回、センターごとに仕分けされた荷物が配達されてくる。朝が午前6時前後、昼が午後2時前後、夕方が午後5時前後。アマゾンからの荷物は、5時頃の便で大量にやってくる。40個や50個が運ばれてくることもある。

 6時頃に出庫する際の残貨が80個を超えると危険水域だ。民家への配達は1時間で20個前後。そうなると最終の夜9時までに配り終えるのは難しい。焦ったドライバーが、日付が変わって寝静まった民家に誤って配達して「こっぴどく怒られた」という話も聞いた。

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