もう1つ重要なポイントがあります。夜間配送です。一番遅い便だと、深夜0時までの配送が可能です。ほとんどの宅配便は21時が最終です。21時以降に受け取りたいという人がいるのです。また、朝は8時から(一部では6時から)届けてもらえるので、パートに出る前に受け取ることができたりします。

 ところが、ヤマト運輸は、時間帯指定のサービスレベルを下げると発表しました。これはネット通販企業にとって大きな出来事です。なぜなら、彼らの売り上げを落とすインパクトがあるからです。例えば、ネット通販を頻繁に利用する若年層の場合、他の世代と比べて一人暮らしが多く、また、それほど高い家賃のマンションに住んでいないため、宅配ボックスの数が不足気味か宅配ボックスのないマンションに住んでいる率が高いのが実態です。そのため、多くの荷物は、20~21時の時間指定にしています。

 ということは、この層がメーンターゲットのアパレル通販などは、受け取りづらくなるため、店に行ったほうが早くなるかもしれません。また、クール便を使う商材を扱う企業でも同様です。これによって、購入自身を断念するかもしれません。そうなると、ヤマト運輸を利用するネット通販企業は、売上が下がる可能性が高く、その下がった分は、プライムナウの地域であれば、プライムナウで買う人が増える可能性が高いのです。

 今回のヤマト運輸の決定は、一見、アマゾンにとっての打撃かもしれませんが、実は、中期的にアマゾンのシェアを上げることになるのです。また、彼らは全身全霊でヤマト運輸ゼロでも対応できるように準備しますから、さらにアマゾンが独自のロジスティクスを持つことになり、競合への競争力は一段、いや数段上がることになります。

 ヤマト運輸の20時~21時の廃止(19時~21時への拡大)によって、アマゾン以外が衰え、自社配送を行うアマゾンが大幅に売上を伸ばす結果となります。今後のアマゾンのロジスティクスへの投資は、注視しないといけませんし、他の企業は独自または共同のロジスティクス網を構築する必要があることを冷静に分析し、決断しなければなりません。