遠藤憲一(俳優)

タバコを吸う俳優さんが少なくなった

撮影:淺岡敬史
撮影:淺岡敬史
――テレビドラマや映画でも喫煙シーンを使いづらい時代になっていますね。

遠藤 テレビ局には喫煙ルームが一応ありますけど、病院でロケをするときにはもちろん絶対吸えないし、全面禁煙の建物で撮影することもあって、そういうときは外に出て吸います。タバコを吸える場所を探すのが日課になっている(笑)。ただ、自分だけ外へ行くと、呼びに来る人が大変ですね。

――喫煙所がコミュニケーションの場になるのではありませんか。

遠藤 スタッフさんは人数が多いので、何人か必ず吸う人がいますけれど、俳優さんには喫煙者は少ないですね。作品によってはいつもより多いなと思ったこともありますが、タバコを吸うのは自分一人というときもありましたし。

 俺はドラマでもけっこう吸っていますけどね。役者としての表現のなかで、この役ならタバコが合うだろう、この場面ではタバコを吸ったほうがいいんじゃないかと考えますから。ここではタバコが必要だと提案してダメだといわれたことはいまのところないので。逆に、あえて吸わないと決めた役もあります。

 ただ、その時々で社会のマナーとかルールというものがあるから、歩きながら路上でプカプカ吸うというのは、いまはドラマでもなかなか出来ないかもしれません。タバコだけじゃなくて、クルマに乗るシーンでは、どんなに急いでいる状況でも必ずシートベルトをするということになっています。クレームが多くなっている時代だから、そこらへんのバランスをどうとるかが問題ですね。

 ただ、木村拓哉さん主演の「安堂ロイド」(TBS・2013年)でヘビースモーカーの刑事役を演じたとき、あえて禁煙の場所で吸って、吸い殻をカップの中に捨てるシーンが台本にありました。さすがにこれは大丈夫かなと気になったんですけど、別にどこからもクレームはつかなかった。視聴者も、そこに意図があって、役柄にはまっているのであれば、そういうものかと思って観てくれると思うんですけどね。

 タバコのシーンって、うまくやると味わいが出てくるんですよ。たとえばものを考えている場面で、何かこう煙の中で一つ違う世界にリンクしていくみたいな、味わいのあるシーンがいままであったと思うんですよね、そういうのがまるっきりなくなっちゃうっていうのは寂しい気がしますね。

 イメージを気にして禁煙した俳優さんもいるでしょうけど、実際、吸っていない人がすごく多いので、喫煙場面があって苦労している俳優さんもいます。吸う人間がやるのとはやはり芝居が全然違ってきますね。本人も、どうしてもうまくできないって悩むことになる。シガレットの形をした咳止め薬がありますよね。一応煙も出るので、あれを吸う人もいます。

 吸わない人、いま本当に多いですよ。やめたって人、多いです。アイコスにした人もけっこういます。俺なんか、ニコチン1ミリのタバコにしたら本数がすごく増えちゃって。時代に逆行していますよね。俺はまあ喫煙家ですよ。やめようと思ったことがないですから。喉の調子が悪くなって本数を減らしたことはありますけど。いちばん少なかったのは1日3本くらい。目標を達成したら、またもとの本数に戻ってしまいました。

 酒でもタバコでも、ほどほどならそんなに害はないと思うんですけどね。女房のお父さんなんてずっと愛煙家で96になっても元気ですから。むりやりタバコを止めたせいですごいストレスを抱えちゃった人も知っているので、それならむしろ吸ったほうが長生きできるかもしれない。いや、本当に。