山田順(ジャーナリスト)

 今村雅弘復興相がとうとう辞任した。すでに「前科2犯」だから、安倍首相も自民党幹部もはやかばう必要はないと判断したようだ。

 私の場合、ネットに書いた記事が「そんなでよくカネをもらえるな」などとボロくそにたたかれ、何度か炎上を経験しているので、実は政治家の「失言・暴言」には「許せない」というより、むしろ「なんでなのか」と疑問を持つとともに、たたかれることにいささか同情することも多い。今回はそうだ。

 今村失言は「東日本大震災はまだ東北だったからよかった。これが首都圏だったら莫大(ばくだい)な被害になっていた」というものだから、事実誤認はないし、誰かを誹謗(ひぼう)しているわけでもない。ただ、「よかった」がいけない。

記者会見する今村復興相。フリーの記者に対し「うるさい」などと述べた
=4月4日、復興庁
 「よかった」など言わなければいいのだ。単に「東日本大震災は、首都圏だったら莫大な被害になっていた」と言えば、問題はなかっただろう。

 また、たとえ「よかった」と言ったとしても、今村氏が被災地の東北出身ならそれほど問題にはならなかっただろう。ところが、今村氏は九州・佐賀の出身だから救いようがない。

 こうなると、エヴァンゲリオン・ネクタイが逆効果になる。見え透いたことをしていると思われるだけだからだ。よって、ここでの教訓は、自分が好きでもないネクタイなどすべきではないということか-。
 
 現在、安倍政権は、閣僚の失言・暴言と「スキャンダルドミノ」に見舞われている。約4年半にわたる長期政権による弛みが一気に噴き出しているという批判にさらされている。

 つい先日、務台俊介内閣府兼復興政務官がおんぶで視察した揚げ句「長靴業界はだいぶもうかった」と失言したと思ったら、山本幸三地方創生相が、地方講演で「一番のがんは学芸員」と続いた。さらに先週は、「ハワイ重婚ウエディング」を強行した史上最強のゲス不倫議員、中川俊直経産政務官が辞任逃亡している。これでは、こういう批判が出るのも無理はない。

 さらにさかのぼれば、失言・失態はまだいくらでもある。

 たとえば、金田勝年法相の「共謀罪」論議発言には目が点になった。しどろもどろになったうえ「私の頭脳が対応できない」と詫びたのだから、質問者も腰を抜かすしかない。財務官僚を長くやると、このような見事なボキャボラリーが身につくのだろう。一般人はこういう場合、「わかりません」と素直に言う。

 また、稲田朋美防衛相にいたっては、首相の女友達なら、嘘をついても、涙ぐめばなにも言わなくても許されるという前例をつくってしまった。国会を学校のホームルームにしてしまい、女子力防衛で「辞めろ」コールを交わしたのだ。そして、いまをときめく「保守女子」のロールモデルをつくり上げた。