藤井聡太(将棋棋士)

聞き手=タカ大丸(ポリグロット<多言語話者>)

 藤井聡太四段(10月1日付で四段に昇格)は、9月3日に最終日を迎えた第59回奨励会三段リーグ戦で1位となった。1954年に加藤一二三九段が14歳7カ月で達成した最年少記録を62年ぶりに更新し、史上最年少(14歳2カ月)プロ棋士が誕生した。過去に中学生でプロ入りを決めたのは、加藤九段のほかに、日本将棋連盟会長の谷川浩司九段、羽生善治三冠、渡辺明竜王の4名だけである。

 将棋のプロになるには必ず棋士一人の推薦を得て師匠となってもらい、日本将棋連盟が運営する奨励会というプロ棋士養成機関に入会しなければならない。最初は六級からスタートするが、県代表・アマ五段と奨励会の六級がほぼ同じレベルである。小学生のうちにこの奨励会に入らないと、まずプロになることはない。

 入会後は、各級・各段で規定の勝率(6連勝・9勝3敗など)を上げながら、昇級・昇段を重ねる。三段になると三段だけで構成される三段リーグ(年2回)で戦うことになるが、四段に昇格できるのは上位2名だけだ。今回の三段リーグの場合、29名が参加し、藤井四段を含め上位2名が昇段した。三段リーグは奨励会トップの棋士が集い、勝ち上がるのは容易ではない。
5月1日、プロ公式戦デビュー後の連勝記録を「15」に更新した藤井聡太四段=東京・千駄ヶ谷の将棋会館(春名中撮影)
5月1日、プロ公式戦デビュー後の連勝記録を「15」に更新した藤井聡太四段=東京・千駄ヶ谷の将棋会館(春名中撮影)
 将棋の世界は三段まで無給で、四段からプロ棋士となり報酬がもらえるようになる。そして、年齢制限が厳然と存在する。26歳までに四段昇段、つまりプロになれない場合は原則退会である。三段リーグのなかで10代は3名しかいなかった。しかも2名は「19歳」である。そう考えると、藤井四段の凄みがよくわかる。

 私は、藤井四段がまだ小学6年生、奨励会初段のときから、成長を見届けている。小6で初段(最終的に二段になった)という記録は、羽生三冠、渡辺竜王を上回る早さである。今回は藤井四段の母・裕子さんの同席のもと、昇段直後の心境や将棋に打ち込む思いを聞いた。