佐藤正久(参議院議員)

 3月6日、北朝鮮は東倉里(トンチャンリ)から4発のミサイルを発射し、そのうちの3発が日本の排他的経済水域(EEZ)に着弾しました。北朝鮮のミサイル技術は日々精度と射程が向上し、発射手段も多様化しています。米国の人工衛星画像などからの分析によると、核実験の準備も進んでいる模様です。

 トランプ米大統領は「第一空母打撃群を派遣した」と発言。4月18日に来日したマイク・ペンス米副大統領は「平和は力によってのみ初めて達成される」と、北朝鮮の行動を強く牽制し、安倍総理も「新たな段階の脅威」と述べました。朝鮮半島の緊張状態は、朝鮮戦争以来ピークに達しているといえます。朝鮮半島情勢に関心を持つ日本人は増えていますが、かたや備えは十分できていると言えるでしょうか。

 もし、北朝鮮がミサイルを発射した場合、ミサイルは10分ないし15分以内にわが国本土に到達します。早期警戒衛星などの情報をもとに全国瞬時警報システム(Jアラート)を使って自治体が国民に速報を打つことができるのは3~4分後になります。
北朝鮮の軍事パレードに登場した、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星」=4月15日(共同)
北朝鮮の軍事パレードに登場した、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星」=4月15日(共同)
 政府並びに自治体が「弾道ミサイル」を想定した住民避難訓練を実施したのは、実は今年3月、秋田県男鹿市が初めてです。地震や津波の防災訓練をやるように、外国からの攻撃や弾道ミサイルを想定した訓練も、国民の生命を守るという点では同じことです。

 北朝鮮の脅威が新たな段階に入ったのであれば、日本でも新たな備えが必要です。さらに、朝鮮半島有事の際は、韓国内にいる邦人の安全と避難についても考えなくてはなりません。

 私は自衛官時代、朝鮮半島有事を想定した演習を実施してきましたが、未解決の課題はたくさんあります。有事になる前に邦人を避難させることができればよいのですが、情勢が急変する場合も想定し備えなければなりません。

 韓国に滞在している邦人は、約6万人と言われています。日本大使館に滞在届けを出しているのは約3万8千人ですが、旅行者や出張の人が一日あたり約2万人と推定されており、実際の旅行者等の数や行動を把握するのは困難な現状です。

 さらに、自衛隊を邦人救出に向かわせようと計画をしても、韓国政府の同意がなければ、自衛隊は韓国内に入ることはできません。その韓国政府との調整も歴史的背景から進んでいない現状もあります。