しかしながら、現状で発生していることは冒頭で述べた現金の出品を行うような事実上のクレジットカードの貸付枠の現金化であり、つまりはモグリの消費者金融と同様の手口です。しかも、これらは「お手軽なフリーマーケットを楽しませる」というメルカリ特有の本人確認のない匿名性の高さをよりどころに適法性が疑われる売買を黙認し、仲介を志したことになります。とりわけ問題視されるのは、この犯罪行為が明らかになるまでメルカリの利用規約が一時的に「現金類似物も出品可能な状態」にわざわざ書き換えられていたことからも伺えます。

現金がチャージされたSuica。すでにSuicaも規制されているがいたちごっこが続く=4月27日
現金がチャージされたSuica。すでにSuicaも規制されているがいたちごっこが続く=4月27日
 どうせやるなら適法にやればいいのに、真面目に本人確認させたって、メルカリほどの勢いであれば問題にならないだろうと思うのですが、これはメルカリに限らず、果物のりんごに見立てた写真で売買されるApple社のiTunesギフトや、返金可能な商品券や交通系ICカード「Suica」などを使っての売買など、いたちごっこは各所で発生しています。

 さらには、本やDVDに特化した新しいメルカリのサービスが立ち上がりましたが、これらの商品の中古売買を行うために必要な古物商の資格は仲介するメルカリも確認していません。直接の売買であれば、業として行うわけではないとリーガル上判断したのかもしれませんが、その匿名で本やDVDを出品している人物が業者でないことをメルカリすらも把握していません。

 要するに、お手軽さを追求して顧客を集め、本人確認や古物商の資格の有無、預かり金の管理を行うのに必要な「資金移動業者」としての信託など、いままで生活を安全に送っていくために構築されてきた法制度をすべてスルーすることで販売管理費を下げ、その分を広告宣伝費やシステム投資に回すことで他社よりも効果的に成長する戦略がメルカリの狙いであることは言うまでもありません。

 これらの問題は、一種のチキンレースのようなもので、ある一定のタイミングで同業種が一斉に「ドボン」することになります。消費者金融の過払い金訴訟問題や、あるいはテレフォンクラブやダイヤルQ2、出会い系サイトといった生活安全の問題も、途中まではグレーゾーンの成長モデルとしてもてはやされた後で事件が起きて当局対応の果てに輝きを失い、結果として潰されたり大手資本系列に逃げ込まなければならないことになります。

 それまでの間に、できる限りのことをやって儲けてしまえ、というのが日本のベンチャー界隈の常識だとするならば、いつぞやのライブドアショックで大いに批判をされた拝金主義と何ら変わることなくこの10年が過ぎたということでしょうか。

 進歩がない、と言われればそれまでですが、ソーシャルゲーム業界にせよオンライン決済や仮想通貨の取引に使われるブロックチェーンなどの金融とITを組み合わせた「フィンテック」方面にせよ、この世の中は知らないものが馬鹿を見る百鬼夜行なのだと思えばそう間違いはないのかもしれません。