藤本貴之(東洋大学教授、メディア学者)

 不適切な出品や売買が問題となっているフリマアプリ「メルカリ」。現金の売買といったグレーな取引から、キャッシュバック販売や「妊娠米」のような法律に抵触しそうなもの、引いては悪質なジョーク出品に至るまで、その実態はあまりにカオスだ。本稿では、騒動となっている「メルカリ」について、具体的な利用実態の紹介も合わせて、その実像について考えてみたい。

 今年4月に就任したばかりのメルカリ社長、小泉文明氏は「『メルカリ』では基本的には自由な出品を売りにしたいので、制限を設けすぎるのは良くありません」と述べてはいるものの、その実態は自由を履き違えた、いわば「無法地帯」というのが一連の騒動を見たほとんどの人の印象だろう。

フリーマーケットアプリ「メルカリ」の画面
 無法地帯化したメルカリの報道を見聞きし、驚く人がいる一方で、筆者のようないわゆるアラフォー世代から見れば、そこに「懐かしさ」を覚えることすらある。

 チケット不正転売(ダフ屋行為)、違法薬物売買、危険物販売、許可が必要なモノの無許可販売、偽物やコピー品(CDなど海賊版)の売買、情報商材販売、不正金券、裏ビデオ、使用済み下着の出品、販売意思のないいたずら出品、それらを全てに関わる詐欺行為…これを見て「メルカリのこと?」と思う人は多いだろう。

 しかし、上記はいずれも1999年にネットオークション最大手「ヤフオク!」(当時は「Yahoo!オークション」)がスタートした当初から近年に至るまで、問題になってきた不正の数々だ。古くは「アングラ掲示板で隠語を使った違法売買」などにも遡(さかのぼ)る。そして、それとほとんど同じような行為がメルカリでもなされていたわけだ。

 ネットオークションは、近年に至るまで不適切売買の温床として、運営側とのイタチごっこを繰り返してきた。最近になって、露骨な不正は減少しているものの、完全に駆逐したとは言い難く、それらは「ネット売買の永遠の課題」といっても過言ではない。