大手出版社の屋台骨を支えていると言われるマンガだが、名実ともにマンガ界のトップを走る『週刊少年ジャンプ』がこの1~2年、直面した危機と、それを集英社がどう乗り切ろうとしているか報告しよう。
名実ともにマンガ界のトップを走る集英社の『週刊少年ジャンプ』
名実ともにマンガ界のトップを走る集英社の『週刊少年ジャンプ』
 同誌が直面した危機とは、この1~2年、人気連載が次々と終了していったことだ。人気連載終了はもちろん本誌の部数にも影響し、『週刊少年ジャンプ』の部数は1年前の250万部から200万部に落ち込んだと言われる。しかし、それ以上に深刻なのは、連載終了した作品をまとめた単行本、いわゆるコミックスの新刊が出なくなることだ。初版360万部を誇る『ONE PIECE』のコミックスが年に何巻出るかで集英社の決算の数字が変わるというほど、大型作品の経営寄与率は高いのだが、『ONE PIECE』は安泰だといえ、それに続く初版数十万部の作品の連載が、この間、次々と終了した。

 この1年間だけでも『暗殺教室』『BLEACH』『こちら葛飾区亀有前公園派出所』『トリコ』の4本、その前年には『NARUTO-ナルト-』『黒子のバスケ』が終了している。

 つまり集英社の屋台骨を支えてきた人気作品のかなりのものがこの2年間でごっそりなくなってしまったのだ。集英社の次の決算が大きな打撃を受けていることは間違いないといえる。

 ジャンプブランドを始め集英社のマンガ部門全体を統括している鈴木晴彦常務が、月刊『創』のマンガ特集の取材に対してこう語っていた。

 「正直、かなりこたえました」

 実は『週刊少年ジャンプ』は1995年に600万部超という驚異的な部数を誇っていたのだが、『ドラゴンボール』や『スラムダンク』『幽遊白書』という人気連載が次々と終了したのを機に部数が一気に落ち込んだ。それ以来、一貫して部数減が続いているのだが、この1~2年の人気連載終了は、その20余年前の悪夢を思い起こさせたというわけだ。

 「ただ、もっとずるずると落ち続けるのではないかという不安もあったのですが、実際はそうでもなかった。あれだけ人気の連載が終了した割にはよく持ちこたえたと思います。よくふんばったなというのが率直な感想です」(鈴木常務)

 一時期、集英社のマンガ部門関係者の顔は一様に暗かったといわれるが、この春、少し明るさが出てきたのは、危機を打開するための施策が少しずつ動き出し、明るい見通しが出てきたからだ。

 「今年は『週刊少年ジャンプ』も新しい作品を育てないといけないし、正念場の年になると思います。『ジャンプスクエア』や、春に刊行予定の増刊『ジャンプGIGA』、それにマンガ誌アプリの『少年ジャンプ+』などを、どう連動させてコンテンツを作っていくか。新陳代謝が進むと思います」(同)

 不動の地位を誇る『ONE PIECE』に続く作品といえば、不定期掲載の『HUNTER×HUNTER』を除けば、現在2位につけているのが『ハイキュー!! 』だ。そしてこの1年、急速に人気を伸ばしたのが『僕のヒーローアカデミア』だ。2016年春から始まったアニメ化で弾みがつき、2017年も4月からアニメの第2シリーズが放送されている。

「『僕のヒーローアカデミア』のアニメは半年間放送予定で、おそらくコミックスが初版100万部を突破するでしょう。先ごろ発表された読売新聞社などが主催の「SUGOI JAPAN AWARD 2017」でも『僕のヒーローアカデミア』が、マンガ部門の1位に選ばれました」(同)