ブームこそ命『コロコロコミック』が切望する次の「妖怪ウォッチ」

『月刊「創」』 2017年5・6月号

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 小学館は以前は学年別学習誌で知られていたが、今は少子化の影響もあって、『小学1年生』以外全て休刊になってしまった。その児童誌市場で圧倒的なシェアを誇っているのが『コロコロコミック』と『ちゃお』だ。『コロコロコミック』は『妖怪ウォッチ』ブームの後、部数も落ちているのだが、この児童誌市場にいま、気になる傾向が目立ち始めている。まだスマホを持たない小学生が読者であるため、デジタルの影響を受けていないと言われるこの市場にも、実はいろいろな変化が出つつあるというのだ。
少年児童誌市場で圧倒的なシェアを誇る小学館の『コロコロコミック』(中央)
 小学館第二コミック局の佐上靖之チーフプロデューサーに聞いた。

 「『コロコロコミック』の主な読者は小学校高学年なんですが、4月号は、新しい読者を迎え入れる大事な時期なんですね。新しい読者がつく一方で上の年齢の子どもたちは卒業していく。入ってくる読者と卒業する読者のどちらが多いかで雑誌の部数が決まるのです。今年は『コロコロコミック』も『ちゃお』も創刊40周年の節目ですので、しっかりと力を入れて楽しい雑誌を作っていこうと思っています」

 雑誌が苦戦する出版界だが、子どもたちの間ではいまだにマンガ雑誌が娯楽の中心を占める。スマホの普及も上の世代ほどではないし、お小遣いの額も限られているので、いろいろなマンガが読めて付録もついているマンガ雑誌は貴重な存在なのだ。

 児童誌の大きな特徴は、玩具やゲームを含めたブームと連動していることだ。3年前の「妖怪ウォッチ」大ブームの時は『コロコロコミック』も100万部を突破する勢いだった。そのブームが一段落した現状では、雑誌の部数もピーク時に比べると20~30万部落ちているという。

 「それは児童誌の特徴であり想定内のことではあるのです。幸い、今の『コロコロコミック』の部数は、『妖怪ウォッチ』ブームの前よりは高いところにとどまっています。本来、編集部としてはブームが一段落する前に次のブームを仕掛けていかねばならず、今は『ベイブレード』と『デュエル・マスターズ』がそれに当たるのですが、残念ながら『妖怪ウォッチ』ほど大きなムーブメントに至っていないのが実情です」(佐上チーフプロデューサー)

 「ベイブレード」は、もともとベーゴマをもとにタカラトミーが開発した玩具だが、過去2001年、2008年とブームになり、今回は第3期。「ベイブレードバースト」というシリーズだ。2015年夏にタカラトミーから玩具が発売され、7月から『コロコロコミック』でマンガ連載開始、2016年4月からはテレビ東京でアニメの放送が始まった。

 「デュエル・マスターズ」はタカラトミー発売のトレーディングカードゲームと連動したもので、『コロコロコミック』では2014年4月号から現在のシリーズ「デュエル・マスターズVS」の連載が始まった。テレビ東京のアニメも昨年4月から始まっている。

 そんなふうにゲームや玩具にマンガとアニメを連動させてブームを作り出し、マンガを読んでいないと学校で子どもたちが話題についていけないという状況を作り出す。そういう独特の手法が児童誌の大きな特徴だ。
小学生読者にもデジタル化の波

 小学生向けの市場は、中学生より上の世代のようにスマホの影響が見られないと前述したが、実はこの世代にもデジタル化の波は着実に押し寄せてきている。

 「小学生は任天堂の3DSというゲーム機でユーチューブを見ているんですね。そこで私たちは2015年末から『コロコロチャンネル』という動画配信を始めました。『コロコロコミック』の編集者が新しいゲームやホビーの遊び方やマンガの描き方を説明するほか、アニメも見逃した子どもたちのために配信しています。毎日最低1本は何らかの動画を配信するという方針です。これが人気になっており、チャンネル登録者数が10万件を超えました。

 『コロコロコミック』では20年以上前から、年に1回、1月にビッグアンケートという、設問が100くらいある詳細な読者アンケートをとっているのですが、今年の集計データを見ると、『これからやってみたいこと』の1位が動画配信でした。
創刊40周年の節目を迎えた『コロコロコミック』
 『将来なりたい職業』の1位が『本やマンガの仕事』で、これは大変嬉しい結果ですが、2位が『ゲームの仕事』、そして3位が『ユーチューバー』でした。ユーチューブは小学生たちにとって相当身近になっているのですね。

 親のスマホを借りて子どもたちがスマホゲームで遊んでいるというのも目立ってきています。親も監視下にある場合は、子どもにスマホを使わせているのです。

 『コロコロコミック』にとって、これまでウェブはマンガのPRやプロモーションのためという使い方でしたが、これからはデジタルのコンテンツで収益を上げることも考えていくことになるかもしれません。

 昨年の夏から始めた『デジコロ』は、3DSのゲーム機の中でコンテンツを販売しているニンテンドーeショップに『コロコロコミック』のマンガ2作品を出品しているものです。『でんぢゃらすじーさん邪』と『ケシカスくん』で、それぞれマンガに着色をし、音声をつけて1話100円で販売しており、すでに20話くらいアップされています。制作に費用がかかって今のところは赤字ですし、子どもたちに課金というのはハードルが相当高い。当面は先々を見据えてじっくりと取り組んでいきたいと思っています」(同)

 小学生向けの市場にもデジタルの影響がいろいろな形で出始めている。この傾向が今後ますます拡大していく可能性もある。今後、デジタルの波は、児童の娯楽市場にも大きな影響を及ぼすことになっていくのだろうか。

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