なぜユニオンは「ブラック企業」退治の切り札と呼ばれるのか

『鈴木剛』

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鈴木剛(東京管理職ユニオン執行委員長)

 現在、「東京管理職ユニオン」は、青林堂による数々の違法行為について、東京地裁と東京都労働委員会に提訴・申立を行い、係争しています。また、これまでに3つの事件で私たちの主張が全面的に認められました。いずれもわれわれのブログで全文を公開しています。

 また、本年3月28日に勝利した東京都労働委員会の命令文は、東京都のホームページに公開されています。青林堂関係者がメディアに公開している情報には、誤ったものが多くありますので、本件に関する正確な情報は、これらをご覧いただければと思います。

 こうしたいわゆるブラック企業の問題は、近年、社会的な問題になっています。本稿ではブラック企業に対抗するために「ユニオン」と呼ばれる労働組合が有効であるという点について論じたいと思います。

 ユニオンとは、合同(一般)労働組合と呼ばれる、一人でも加入することができる労働組合のことで、従来の合同労組の一種として、1970年代以降、新たに誕生したものです。ユニオンは企業内労働組合と全く同じ法的権限を有しています。ユニオンが急増した構造的背景は、経済成長率の低下に伴う雇用形態の変化があります。
(写真はイメージです)
 それまでの男性正社員を中心とした年功型雇用システムから、派遣・有期契約・パートなどの非正規労働者の増大があります。日本の労働組合の多くは男性正社員をメンバーシップとする企業別組合でしたから、こうした非正規労働者は保護の枠外にありました。

 また、諸外国と比較して日本の非正規労働者は、時間当たりの賃金が非常に低いという特徴がありました。昨今、政府も推進しようとしている「同一労働同一賃金」は、この構造的問題の解消を目指すものであり、いわば国民的な課題です。この点から、従来の企業別組合が受け入れなかった非正規労働者が数多くユニオンに駆け込んできたのです。

 加えて、日本で構成比率が高い中小企業では、法令を無視した職場も多く、必然的に労働者がユニオンに助けを求めてくる実態もあります。そして、労働基準監督署などの公的機関や弁護士によるアプローチと比較しても遜色なく、被害者が納得する内容で解決していることから、ユニオンは増加傾向にあります。

 解決内容も、労使双方が和解し、継続して円満な労使関係を確立し、就労を続けるケースも少なくありません。この点でユニオンはブラック企業対策として有効な武器であるといえます。近年、「ユニオン対策本」と題した書籍が出版され、「ユニオンは解決金目当て」などと書かれている場合がありますが、正確ではありません。

 ブラック企業に対してユニオンが有効な手段足りえるのは、以下の法的根拠が考えられます。

① 団結権に基づく企業内外での広範なネットワークづくり

② 団体交渉権に基づく強い交渉力

③ 団体行動権に基づく強い行動力

たった一人でもこれだけ戦える

 ①は、企業内で組合員や協力者を拡大することや企業外の支援者ネットワークを活用し、広げることです。同様な被害にあった労働者が同じ目線で励まし、先行する経験からアドバイスすることは有益なことです。労働基準監督署などの公的機関にしても、弁護士を通しての訴訟にしても、被害当事者は一人で孤立しがちです。

 また、企業は、経営者の強い権限で違法行為を隠蔽し、従業員に虚偽の陳述書を書かせ、被害当事者を孤立させることもあります。この点でユニオンは、企業内外のネットワークを駆使し、当事者が孤立することを防ぎ、交渉においても有効な証拠収集などを進めることができます。

 ②は、法的に企業がユニオンからの団体交渉の申し入れを拒否できないということです。たった一人の労働者でも企業は団体交渉を受諾しなければならず、これを拒否すれば違法行為となります。また企業は、単に交渉すればよいのではなく、客観的資料などを示し、説明しなければならない「誠実交渉義務」が課されています。

 そして③は、交渉が企業側の不誠実な態度によって行き詰まった際に、これを打開する手段として、行動することが法的に認められていることです。つまりユニオンは、法的根拠をもって被害当事者の立場で、多様な行動を取ることができるのです。

 代表的なものは、ストライキ、抗議行動、取引先などのステークホルダーへの要請行動、SNSやメディアを通しての宣伝活動などです。一個人で行使すれば違法に該当する恐れがある行動に関しても、ユニオンが正当な手続きを踏めば、違法性が阻却されるのです。

 もちろん、企業側が誠実な交渉をしている段階でそのような行動を取ることは許されません。従って企業がキチンと法令順守していれば、ユニオンとのトラブルになることはあり得ないのです。

 ユニオンにも多様な組織があり、スタイルも異なります。しかし、基本的には労働組合法が定めるように、労働者が企業と対等の立場に立って、団体交渉や団体行動を行い、労働協約を締結するためのものです。ユニオンは、この点で法令に沿った存在であり、違法なブラック企業から被害を受けた人々にとって心強い解決手段です。

 また、最近では、ユニオンと企業がセミナーを共催したり、職場環境改善に向けて講師依頼されるケースも増えています。私もこうした取り組みを歓迎し、引き受けています。経営環境が厳しい中小企業にとって、知恵と力を出し合い、労働者も成長し、企業が持続的に発展することを心から願っています。

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