この論考では、2012年4月から2016年3月までの国家公務員退職者を内閣官房が公表する「国家公務員の再就職状況」から集計している。そこには、今回の加計学園も1人、総務省から受け入れている。

 論考の表にもあるが、国際医療福祉大は9人で、財務省、警察庁、文科省、厚労省から受け入れている。なぜ、加計学園とともに、国際医療福祉大を取り上げたのかといえば、今回の加計学園とともに、同時期の戦略特区によって、医学部新設が認められたからだ。場所は成田市にあり、多額の補助金を受けている点では、加計学園と同じである。また、加計学園の獣医学部新設が52年ぶりであれば、国際医療福祉大の医学部新設も38年ぶりだ。

 役人の再就職について、役人側からみれば、国際医療福祉大は9人で「よくやっている」が、加計学園は1人だけで「認可をもらうなら、もっと採ってもいいだろ」と思うだろう。

東京・霞が関の文部科学省
 文科省の組織的な天下り斡旋を指示していた前川氏からみれば、加計学園へは過去には文科省からの再就職もあったが、最近はない。文科省が新設認可権を持っているのを知らないのか、総理の友人ということで調子に乗っている、と考えたか、考えなかったかは外部からはうかがい知れないが、そんな邪推もありえる。

 そもそも、天下りと許認可には密接な関係がある。許認可を厳しく運用することによって天下りを引き出すというのは、役人の常套(じょうとう)手段である。

 今回の場合にも、大学医学部、獣医学部新設に認可が必要であり、文科省は背後の医師会、獣医師会の反対を盾にして、長年新設を認めてこなかった。それが、特区によって風向きが変わり、医師会、獣医師会も柔軟姿勢に転じた。文科省としても、新設認可をしてもいいが、それなら天下りを受け入れろという誠に身勝手な論理で役人は考えるものだ。

 加計学園の場合、獣医学部新設の要望は古く、小泉政権下で構造改革特区制度が作られたときからである。民主党政権時に機運が盛り上がり、第2次安倍政権になって、38年ぶりの医学部新設とともに、52年ぶりの獣医学部も実現したというのが経緯だ。もし、加計学園理事長が安倍首相の友人ということで「総理の意向」であれば、小泉、第1次安倍政権時に認可されていても不思議でない。