特区の議論をみれば、獣医学部の他にも数多くの課題があり、安倍首相が獣医学部の是非なんて言える場面はまずない。それにも関わらず、他の案件や経緯を無視して、加計学園問題のみを、根拠のない「総理の意向」を前提として論じる野党・マスコミのロジックには違和感がある。

 獣医師会から1校なら容認するという事実が明らかになっているのにも関わらず、加計学園1校に絞ったのが不自然という議論が再三でてくるのもうんざりする。

 むしろ、加計学園は最近文科省から天下りがなかったので、天下りを重要視する前川氏が、天下りなしで認可してしまったが、これは「総理の意向」があったからとデッチあげたというほうが、筆者にはよりスッキリとして納得的な説明である。実際のところは不明であるが、「総理の意向」ありきの話には無理がありすぎ、「総理の意向」は勝手に文科省側で作られた可能性があると思う。これが、筆者の邪推する天下り問題からみた加計学園問題の真相である。
2月7日衆院予算委員会で、文部科学省の天下り斡旋問題をめぐる集中審議に参考人として出席した前川喜平前事務次官(右)と人事課OBの嶋貫和男氏(斎藤良雄撮影)
2月7日衆院予算委員会で、文部科学省の天下り斡旋問題をめぐる集中審議に参考人として出席した前川喜平前事務次官(右)と人事課OBの嶋貫和男氏(斎藤良雄撮影)
 いずれにしても、天下りと許認可は切っても切れない関係である。天下りは身内の役人という既得権に甘く、それ以外の人には雇用を奪われる。新規参入の許認可も、既に参入している既得権者に有利で、新規参入者を不当に差別する。こうした意味で、天下り斡旋を行うことは、新規参入阻止と整合的である。

 はじめに書いたように、前川氏と筆者は、天下りと新規参入規制緩和の2点についてまったく真逆の役人人生を送っており、どうも筆者には前川氏の行動は理解を超えている。

 ただ、文科省の天下り問題で、あれだけ前川氏をたたいていたはずが、この加計学園問題では、前川氏擁護になっているマスコミも、朝日、毎日、東京と一部にある。その点も、天下り問題と新規参入許認可問題をパラレル(平行)に考える筆者にとっては理解できないところだ。