八幡和郎(徳島文理大学教授、評論家)

 秋篠宮眞子内親王のご婚約は、まことに喜ばしい慶事である。何より十分な交際期間を経て、ご両親の祝福も受けての婚約である。晩婚化が顕著な今、若いカップル誕生は少子化対策としてこれほど効果的な出来事はない。

ブータン訪問のため、羽田空港を出発される 秋篠宮ご夫妻の長女、
眞子さま=5月31日、羽田空港(代表撮影)
ブータン訪問のため、羽田空港を出発される
秋篠宮ご夫妻の長女、眞子さま=5月31日、羽田空港
 しかし一方で、女性宮家制度の創設を、来年に予定されるご結婚の前に実現し、皇位継承権も眞子さまやその男女の子供に与えようと政治的な動きをみせる勢力があることは問題である。皇位継承の原則変更という重大な問題を、個人の結婚に合わせて急いで議論するのは筋違いである。逆に言えば、女性宮家創設を前提とするなら、そもそも眞子さまのご結婚が適切どうか別の観点でのチェックが必要になってくるはずだ。

 女性宮家の創設という、オブラートにくるまれて語られる問題の中で、それを推進している中核的な人々の考え方は以下のようなものである。

 女性皇族が結婚した場合には、

(1)新たに宮家を創設し、その配偶者と子孫を皇族とする。
(2)その場合に対象となる女性皇族は内親王としての資格を持つ愛子さま、眞子さま、佳子さまの範囲に限る。つまり、三笠宮家と高円宮家の5人の女王は対象としない。
(3)すでに結婚された方は対象としない。
(4)皇位継承は男女を問わず「長子優先主義」とする。つまり皇太子殿下の後は愛子さま、秋篠宮殿下、眞子さま、佳子さま、悠仁さまの順位になる。

 もちろん、バリエーションはある。

 (1)については、本人だけに皇族身分を継承させ、その配偶者、あるいはその子供も皇族身分を与えないということが考えられる。ただし、これは家族の中で皇族と一般人が混在することになるのが難点だ。また、配偶者には皇族身分は認めるが殿下の称号を与えないという選択も否定できない。

 (2)については、三笠宮家や高円宮家の女王も対象とする考えの一方で、男子がいない宮家の長女に限るという考えもある。そういう考え方だと、三笠宮承子さまは対象になるが、弟がいる眞子さまは対象にならなくなる。しかし、一般的に女系天皇推進の人々の多くは三笠宮家や高円宮家は対象としないと考える人が多いようだ。

 (3)で、すでに結婚された方を対象にすると、天皇、皇后両陛下の長女、黒田清子さんだけでなく、昭和天皇の4人の皇女や三笠宮家の2人の内親王も対象にしない理由がなくなるのも難点だ。

 (4)に関して、女性宮家を認めることと皇位継承は別問題であるが、後で書くように公務を事実上、結婚された女性皇族や、戦後に臣籍降下された旧宮家の人々にお願いするのはいかようにでも工夫できるので理由にならない。公務の分担を口実に、皇位継承を女系にも認めることが本当の意図である。

 ただし、長子優先にするかどうかは別問題で、姉より弟を優先する場合も悠仁さまを排除して愛子さまが皇太子殿下の継承者となる。また、皇族の中で男子の継承者がいない場合のみ女性天皇を認めるという考え方や、すでに皇位継承権者となっている秋篠宮殿下、悠仁さまに限り、順序は変更しないという方法もないわけではない。