2017年06月07日 10:44 公開

ロンドン中心部を襲った3日夜の攻撃について捜査当局は6日、現場で射殺した実行犯3人のうち3人目の氏名を、モロッコ系イタリア人ユセフ・ザグバ容疑者(22)と公表した。

調べによると、クラム・バット容疑者、ラシード・レドゥアン容疑者、ユセフ・ザグバ容疑者の3人は4日夜、ロンドン橋の歩道をワゴン車で暴走した後、飲食店の並ぶバラ・マーケットまで走り、無差別に刃物で襲撃した疑い。事件では7人が死亡し、48人が負傷した。3人は現場で警察に射殺された。

イタリア捜査筋はBBCに対して、ロンドン東部在住だったザグバ容疑者は、監視対象リストに含まれていたと認めた。このリストは英国を含む多数の国の間で共有しているもの。2016年3月には、トルコ・イスタンブールへ向かおうとする同容疑者について、伊ボローニャ空港の当局が渡航を阻止している。携帯電話に、過激派勢力のいわゆる「イスラム国」(IS)関連の資料が記録されていたという。

ISは、今回のロンドン攻撃が自分たちの「戦士」によるものだと後から犯行声明を出している。

ロンドン警視庁によると、バット容疑者は2015年に捜査線上に上がっていたが、今回の攻撃を計画していた情報は得られていなかったという。

調べによると、レドゥアン容疑者は自称モロッコ系リビア人の調理師で、「ラシード・エルクダー」の別名も使っていた。2012年にアイルランドの首都ダブリンで英国人女性と結婚し、ダブリン市内に住んでいた。警察には認識されていなかった。

ロンドン警視庁は、バット容疑者が住んでいたロンドン東部バーキングで、新たに27歳男性を逮捕したと発表した。これまでに事件に関連して同地区で12人が拘束されたが、不起訴で釈放されている。

アイルランドではレドゥアン容疑者に関連して、これまでに2人が拘束され、うち1人はその後釈放された。

バット容疑者は、英チャンネル4製作のイスラム過激主義に関するドキュメンタリー番組に登場していた。服役中のイスラム教指導者アンジェム・チャウダリ受刑者とつながりがあったとされる。

番組では、バット容疑者が道端で警官と口論する様子が撮影されていた。

インターネット上に掲載されている履歴書によると、バット容疑者は経営術で全国職業資格(NVQ)2級を取得していた。ケンタッキー・フライド・チキンの店舗管理などを請け負うイーストハムの企業オーリガ・ホールディングスで、総務の仕事に就いていた。ロンドン交通局によると、昨年10月に退職するまで半年間、利用者応対係の見習いとして働いていた。すでに清算済みの「クール・コスメティクス」という会社の唯一の役員だったこともある。

BBCのドミニク・カシアーニ内務担当編集委員は、バーキング地区では住民2人がバット容疑者について懸念を明らかにしていたと指摘する。一人の男性は2015年に対テロホットラインに通報し、女性は容疑者が自分の子供たちを過激化しようとしていると恐れて地元警察署に相談しにいったという。

捜査対象として優先順位が低かったのは、具体的な攻撃計画に関与しているという情報が得られていなかったからだと、カシアーニ記者は指摘する。

犠牲者は

英国民保健サービス(NHS)イングランドによると、負傷者のうち32人が今でも入院中で、そのうち15人が危篤という。

死亡した7人のうち、これまでに4人の名前が公表された。

オーストラリア出身のカースティ・ボーデンさん(28)はロンドンのガイズ・アンド・セントトマス病院で働くベテラン看護師だった。遺族は、ボーデンさんがロンドン橋で刺された被害者を助けに走って行ったようだと話している。「快活で優しく、思いやり深い」カースティさんをしのび、「カースティーの勇敢な行動を本当に誇りに思っています。あの夜だけでなく一生を通じて、いかに他人思いで優しく勇敢だったか、表しているので」とコメントを発表した。

勤務先の病院は、ボーデンさんが「非常に優れた看護師で、回復治療室の大切なスタッフだった。同僚たちは、担当患者のために常に最善の限りを尽くした『百万人に一人』の優秀な看護師だったと称えている」とコメントした。

豪外務省は7日、さらにもう一人オーストラリア人が亡くなったと発表した。名前はまだ公表されていない。

ロンドン東部ハックニー在住のジェイムズ・マクムランさん(32)の家族は、マクムランさんが3日夜から行方不明で、現場に倒れていた遺体がマクムランさんの銀行カードを所持していたことから、死亡したようだと明らかにした。きょうだいのメリッサさんは、「私たちの苦しみは決して消えません。しかし、私たちを滅ぼそうとする連中に真っ向から反対する形で生き続けるのが大事です。そして、憎しみは心の狭い者が逃げ込むところで、憎しみは憎しみしか生まないと忘れずにいなくてはなりません」とコメント。「あの晩、ジェイムズと一緒にいた友人たちは、彼がいかに優しく思いやり深い友人だったかをみんなに知ってもらいたいと話しています」と述べた。

最初に身元が公表された犠牲者は、カナダ人クリシー・アーチボルドさんだった。欧州に移住するまでホームレス施設で働いていたアーチボルドさんは、婚約者の腕の中でロンドン橋で亡くなった。

フランスのジャン=イブ・ル・ドリアン外相は、フランス人男性が一人死亡したと明らかにした。仏ブルターニュの地元紙は、ノルマンディー出身でロンドン在住のアレクサンドル・ピジェアールさん(27)が首を刺されて死亡したという、同僚の話を伝えている。ノルマンディーの地元紙は、遺族が死亡を確認したという地元首長の話を伝えている。

(英語記事 London attack: Third attacker named as Youssef Zaghba