一色正春(元海上保安官)

 作家であり放送作家である百田尚樹氏が一橋大学の学園祭「KODAIRA祭」で、「現代社会におけるマスコミのありかた」というテーマで行う予定だった講演会が中止になり、同祭のホームページ(HP)でその理由が以下のように発表されました。

 このたび本講演会を中止することになった理由についてですが、「本講演会がKODAIRA祭の理念に沿うものでなくなってしまったこと」が挙げられます。当学園祭は一般の学園祭と異なり、「新入生の歓迎」を第一義とするものです。当委員会の企画のために、新入生の考案した企画や、新入生の発表の場である他の参加団体の企画が犠牲となることは、当委員会では決して容認できるものではありません。

 当委員会は本講演会を安全に実施するため、これまで幾重にも審議を重ね、厳重な警備体制を用意していました。しかし、それがあまりにも大きくなりすぎたゆえ、(いくつもの企画が犠牲となり、)「新入生のための学園祭」というKODAIRA祭の根幹が揺らいでしまうところまで来てしまいました。(一部抜粋)

東京国立市にある一橋大学のキャンパス
東京国立市にある一橋大学のキャンパス
 話を要約すると「何らかの理由で講演会の安全が脅かされる事態が予測され、それに対応できないと判断したから中止する」ということのようです。その理由とは何なのかという話の前に、まずは発表方法に問題があったことを指摘しておきます。当初、百田氏はツイッターで上記中止発表画面を「私のところにはまだ講演中止の連絡がないのだが…。」というコメントとともにツイートしていました。

 つまり、学園祭の主催者は当の本人である百田氏に何の相談や連絡もせず、一方的にホームページで中止を発表したのです。これは契約不履行云々(うんぬん)というビジネスの話以前の問題で、このような信義にもとるやり方は、一般社会では決して許されません。物事を頼んでおきながら自分たちの都合でキャンセルするのであれば、ホームページで一方的に発表する前に、まずは講演を依頼した百田氏に理由を説明し詫びるのが最低の礼儀です。これに対して世間を知らない学生だからと擁護する向きもあるようですが、ならば学生任せにせず良識のある教員等が社会の最低マナーくらいは指導すべきであり、いずれにしても、この一事だけで大学のイメージを損ねたことは間違いありません。