百田尚樹(作家)

 私の一橋大学の講演中止が波紋を広げています。

 講演反対運動を積極的に進めていたのは、同大学にある「反レイシズム情報センター(ARIC)」(以下ARIC)という団体です。

 ARICは、「人種差別主義者である百田尚樹に講演させるわけにはいかない」という理由で、実行委員会に対して2カ月にわたって執拗に「講演中止」を要請していました。

百田尚樹氏の講演会中止問題に揺れる
一橋大学の国立キャンパス(桐原正道撮影)
 私はこれまで人種差別発言などしたことはないし、ヘイトスピーチもしたことはありません。にもかかわらず、ARICは私のツイッター上の発言を恣意的に解釈して「百田尚樹はレイシストであり、差別扇動をする者」というレッテルを貼り、そんな人物に講演させるわけにはいかないと言い出したのです。

 ちなみに、私の講演テーマは「現代におけるマスコミのあり方」というもので、ヘイトやレイシズムなどはまったく関係のないものです。にもかかわらず、ARICは私の講演そのものが差別扇動になると主張しました。

 ARICはこうした勝手な前提を設けて、自分たちで作ったいくつかのルールを実行委員会に突きつけ、これを守らなければ講演させないと言いました。彼らのルールそのものは実に不当なものでしたが、中でも一番驚いたのは、以下の要求です。

「百田尚樹氏講演会『現代社会におけるマスコミのあり方』に関しては、百田氏が絶対に差別を行なわない事を誓約したうえで、講演会冒頭でいままでの差別扇動を撤回し今後準公人として人種差別撤廃条約の精神を順守し差別を行なわない旨を宣言する等の、特別の差別防止措置の徹底を求めます。同時にこの条件が満たされない場合、講演会を無期限延期あるいは中止にしてください」

 啞然とするとは、まさにこのことです。

 「百田尚樹は差別扇動する者」という、まったく事実と異なる前提の上で、講演前に私にそれを撤回させ、さらに今後は二度とそのようなことを行なわないことを宣誓させるとは、呆れ果ててモノも言えません。

 実行委員会は突っぱねましたが、ARICはその後、何度も執拗に実行委員会に講演中止を要請し、また大学の教員にも働きかけたようです(彼らは「講演反対」の署名運動も始めていました)。