2017年06月12日 14:32 公開

8日の英総選挙で与党・保守党が単独過半数を失った結果に反応して下落していた英通貨ポンドは、12日のアジア為替市場で安定した推移となっている。

ポンドは12日朝のアジア市場で1ポンド=1.2740ドルを付けた。9日の終値は1ポンド=1.2743ドルだった。

市場アナリストらは、保守党による少数与党政権成立の見通しが、ポンドのさらなる下落に歯止めをかけるかもしれないと語った。

テリーザ・メイ首相は、北アイルランドの保守政党、民主統一党(DUP)との連携で同党と協議している。

先週の総選挙で保守党が単独過半数を失ったことで、英国の政治は混迷している。メイ首相は当初、総選挙の実施によって政権の基盤を強化した上で、欧州連合(EU)との離脱交渉に臨もうとしていた。

選挙結果を受けてポンドは9日に1.7%下げ、過去約8カ月で最も大幅な下落を記録した。

景況感の悪化

英経営者協会(IOD)は、選挙後の不透明感によって企業の景況感は「底なしで」悪化していると指摘した。IODが選挙直後に実施した加盟700社への調査では、単独過半数の政党がない「宙吊り議会(hung parliament)」となったことで、景況感の「急激な悪化」が示されたという。

メイ首相は政権を維持するためDUPとの連携を模索。所属議員10人のDUPは、社会政策面で強硬かつ議論を呼ぶ主張で知られる。

選挙結果を受けて英国の政治的不透明感が増すなか、為替市場はEUとの離脱交渉の行方に注目するとみられる。

EUとの正式な交渉は来週始まる見通し。交渉の結果はEU加盟諸国と英国両方の経済に大きな影響を及ぼすと予想されている。

メイ首相は、英国が単一市場と関税同盟を脱退する、いわゆる「ハードブレグジット(強硬な離脱)」を主張してきた。一方で、従来のつながりのメリットを享受できる「ソフトブレグジット」を擁護する声もある。

OANDAのシニアトレーダー、スティーブン・イネス氏は、「離脱交渉におけるメイ氏への信任低下という筋書きの中で、長引く不透明感がポンドのさらなる水準調整の可能性を示しているのは確かだ」と語った。

「しかし、欧州経済地域(EEA)に似た取り決めに英国が同意するという、市場友好的な選択肢しか実際にはないだろうと考える冷静な見方も存在する。なので、短期的な可能性と長期的な可能性がぶつかる渦に市場が振り回される展開を予想していた方がよい」

(英語記事 Sterling stabilises as May prepares minority government