島田裕巳(宗教学者)

 日本人は自分たちのことを「無宗教」だと考えてきた。

 それを裏づける資料もある。アメリカのギャラップ社が2006年から08年にかけて行った世論調査では、日本人のなかで信仰を持っている人間は25%で、対象となった世界143カ国のうち136位という結果が出た。

 日本より信仰率が低いのは、香港や北欧諸国などわずか7カ国しかない。たしかに、日本は無宗教の国であるということになる。

 しかし、これが果たして正しいのかどうか、実は怪しい。

 NHKが1996年に行った「全国県民意識調査」というものがあるが、全国平均では、信仰を持っている日本人の割合は31・2%であった。ギャラップ社の調査よりは高いが、7割近くが無宗教であるということになる。

 ところが、都道府県別に考えると、かなりのばらつきがある。最も低いのは沖縄の7・8%で、これが飛び抜けて低いが、次いで千葉県の18・1%である。関東はおしなべて低く、一番高い東京でも27・0%である。東北も低く、すべての県が20%台である。他に20%台は、新潟、山梨、高知である。

 反対に、最も高いのが福井の58・0%で、広島も53・7%と半数を超えている。40%台は、富山、石川、長崎、鹿児島、香川である。
多くの参拝者が訪れる西本願寺=5月31日午後、京都市下京区の西本願寺(北崎諒子撮影)
多くの参拝者が訪れる西本願寺=5月31日、京都市下京区の西本願寺(北崎諒子撮影)
 長崎の場合には、キリスト教が5・1%で、このことが信仰率を押し上げているが、他に高い県は、浄土真宗の信仰が強い「真宗地帯」である。鹿児島も浄土真宗は強い。

 この点は重要で、浄土真宗の信仰が強いところでは、どこでもかなり信仰率が高いのである。平均してしまうと、この地方による違いが見えなくなる。