2017年06月14日 12:31 公開

北朝鮮を訪問中にホテルの政治宣伝看板を盗もうとした罪で懲役15年の判決を受けた米国人学生オットー・ワームビア受刑者(22)が、解放されて出国した。米国務省が13日、明らかにした。ワームビア氏の家族は、受刑者が昨年3月の公判以降、昏睡状態にあったと1週間前に知ったばかりだと明らかにした。

レックス・ティラーソン国務長官は短い声明を発表し、「大統領の支持で国務省は、オットー・ワームビア氏の北朝鮮からの解放を確保した。ワームビア氏は米国へ向かっており、家族と再会する。国務省は、他に拘束されていると言われる米国人3人について、北朝鮮と協議を続けている。ワームビア氏と家族のプライバシーを尊重し、国務省はワームビア氏についてこれ以上のコメントを控える」と説明した。

ワームビア氏の両親フレッドとシンディ―さんはコメントで、「オットーは北朝鮮を出国した。医療避難機で帰宅中だ。残念ながら、オットーはこん睡状態にある。昨年3月からそうだと、わずか1週間前に知らされたばかりだ」と発表した。

米紙ワシントン・ポストが両親の話として伝えたところによると、ワームビア氏は昨年3月の公判から間もなくボツリヌス菌に感染したと説明されたという。ボツリヌス菌による中毒症状は麻痺を引き起こす。同紙によると、北朝鮮当局がワームビア氏に睡眠薬を与えて以来、昏睡状態にあるという。

ワームビア氏はオハイオ州シンシナティ出身で、バージニア大学で経済学を専攻していた。

観光客として北朝鮮に向かい、昨年1月2日に逮捕された。2月末の記者会見で涙ながらに、教会に持ち帰る「トロフィー」として看板を盗もうとしたと告白。「北朝鮮の人たちの勤労の精神を傷つけようとした」と話した。

北朝鮮に拘束されたことのある複数の外国人は、当局の圧力下で自白を強制されたものだと話している。

昨年3月16日に短い裁判の後、国家反逆罪で懲役15年の労働教化刑を言い渡された。

両親は今年5月初め、米CNNに、息子とは1年以上連絡がとれていないと話していた。

北朝鮮には現在、米国市民3人が拘束されている。

昨年4月には、韓国生まれで米国に帰化した62歳のキム・ドンチュル氏がスパイ罪で有罪となり、懲役10年の労働教化刑を言い渡されている。キム氏は2015年10月に逮捕された。

今年4月には、平壌科学技術大学で教えていた朝鮮系米国人キム・サンドゥク氏(別名トニー・キム氏)が逮捕された。容疑は不明。

さらに5月には、同じく平壌科学技術大学に勤務するキム・ハクソン氏が、国家への「敵対的行為」の容疑で逮捕された。

米政府はこれまで、北朝鮮が核・ミサイル開発をめぐる駆け引きの道具として米国人を拘束していると非難してきた。

ワームビア氏の釈放とは別に、韓国政府は13日、北朝鮮のドローン(小型無人飛行機)が、米製の地上配備型迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)」の写真を撮った後に墜落したと発表した。

さらに韓国軍は、軍事境界線を越えて北朝鮮兵が亡命したと明らかにした。

なぜロッドマン元選手が平壌に

ワームビア氏解放の数時間前には、米プロバスケットボールNBAの元スター選手、デニス・ロッドマン氏が平壌に到着した。ロッドマン氏は北朝鮮の指導者、金正恩氏と親しく、これまでにもたびたび北朝鮮を訪れている。

ロッドマン氏が金氏に、米国人の解放を促すのではないかとの憶測が取りざたされたが、北京経由で平壌に向かったロッドマン氏は報道陣に、「北朝鮮に今後もスポーツを持ち込めるかが自分の目的」だと話した。

元選手は自分は「扉を開けようとしてるだけ」と述べ、「(トランプ大統領は)自分たちに必要なことを実現しようと俺がここに来てるのを、喜んでるはずだ」と付け足した。

トランプ氏は2013年の時点で当時のロッドマン氏の訪朝について、「世界を見渡すと、自分たちの周りで世界が爆発してる。もしかして、今いる指導者よりもデニスの方がずっとうまいかもしれない」と話していた。

(英語記事 Otto Warmbier: North Korea releases jailed US student 'in coma'