東京都議選では一時は自民党を駆逐するかに見えた小池新党「都民ファーストの会」の勢いが止まりつつある。実は、安倍官邸の「空気支配力」の効果と怖さを最も良く知るのが自民党広報本部長時代に情報戦略立案にかかわった小池百合子・知事なのだ。
都民ファーストの会が「選挙対策本部」を設置に伴い、看板掛けを行った。記念撮影に応じる小池百合子都知事と都民ファーストの会の広報部メンバーら=5月16日午後、東京都新宿区(代表撮影)
都民ファーストの会が「選挙対策本部」を設置に伴い、看板掛けを行った。記念撮影に応じる小池百合子都知事と都民ファーストの会の広報部メンバーら=5月16日午後、東京都新宿区(代表撮影)
 安倍首相は、2013年参院選でネット選挙が解禁されると、「情報分析会議」で培ったノウハウをフルに発揮させる。とくに重視したのが不利な情報やネガティブ情報への反撃作戦。

 ネット戦略の実働部隊として小池百合子・自民党広報本部長(当時)の下に議員、選挙スタッフ、ネット企業の専門家、弁護士からなる「Truth Team(T2)」を発足させ、24時間態勢でネットを常時監視、ブログやSNS、2ちゃんねるなどに候補者への誹謗中傷の書き込みがあれば直ちに削除要請する仕組みをつくりあげた。ジャーナリスト・角谷浩一氏が語る。

「小池氏は自民党東京都連を『ブラックボックス』と批判して都知事選に出馬したが、これまで安倍総理に弓を引いたことはない。都知事選の公約も『アベノミクスを東京から』でした。メディア出身の彼女は、小池都政に80%近い支持があっても、安倍首相はなにやら得体の知れない世論の空気を味方に付けていて、正面切って戦うのは不利と感じ取っているからではないか」

 そんな小池氏の足元を見て自民党が「ご自身の立ち位置さえも決められない知事」(萩生田光一・官房副長官)と“二重党籍”批判で反転攻勢をかけると、小池氏も決断を迫られた。

 懸案の五輪費用分担問題で国が1500億円負担することが決まった翌日(6月1日)、小池氏は自民党に離党届を出して正式に都民ファーストの会代表に就任、全面対決の姿勢を鮮明にした。

「小池さんは、基本は“都政と国政は別”という考え方だが、売られたケンカから逃げる人ではない。離党でケジメをつけた。彼女の戦いが都議選での自民党の不満の“ガス抜き”にとどまるのか、それとも安倍支持の国民の空気そのものを変えようと挑むのか、これから非常に難しくなっていくでしょう」(同前)

『「空気」の研究』(山本七平著)の愛読者である小池氏は「空気」の微妙な変化を感じ取っているのかもしれない。

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