2017年06月15日 12:50 公開

2016年米大統領選への介入をめぐるロシア疑惑について、米紙ワシントン・ポストは14日、ロバート・ムラー特別検察官がドナルド・トランプ大統領を司法妨害の疑いで捜査していると報道した。

ワシントン・ポストは、5人の匿名当局者の話として、ムラー検察官が指揮する捜査チームの事情聴取に3人の情報機関幹部が任意で応じたと伝えた。同紙によると、ダニエル・コーツ国家情報長官、マイク・ロジャース国家安全保障局(NSA)長官、リチャード・レジェット前NSA副長官の事情聴取は、早ければ今週中にも行われる見通し。特別検察官は当初、ロシア側の動きに注目していたものの、それが大統領の司法妨害に注目するようになったのはトランプ氏自身の行動が原因で、ロシア疑惑捜査の大きな転換点だと同紙は書いている。

匿名の消息筋は同紙に対して、大統領の司法妨害は5月9日に連邦捜査局(FBI)のジェイムズ・コーミー長官を解任する前から始まったと話した。また同紙は、大統領が3月末にコーツ長官とロジャース長官に個別に電話をかけ、ロシアと自分の陣営の結託はなかったと公に断定するよう求めたことを、ムラー検察官は注目していると書いている。

NSAは同紙に対して、「特別捜査官に全面協力する」とのみコメントした。国家情報長官の官房とレジェット氏はコメントを断ったという。

同紙はこのほか、ムラー氏率いる捜査チームが、トランプ氏の関係者による金融犯罪の可能性についても調べていると書いている。

トランプ氏はコーミー長官に繰り返し、自分は捜査対象ではないと確認を求めていた。しかしコーミー氏は今月8日、上院情報委員会に出席し、トランプ大統領と一対一で対面した場で、マイケル・フリン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の捜査を打ち切るよう指示されたと感じたほか、大統領への忠誠を要求されたと宣誓証言している。

ワシントン・ポストによると、ムラー検察官は、コーミー氏が大統領との度重なる会談のたびに詳細に残した記録も、捜査資料として入手したという。

フリン氏は政権発足前にロシアの駐米大使と会談していたのをホワイトハウスに十分に報告しなかった責任で、今年2月に事実上解任された

ホワイトハウスは、コーミー氏に大統領が圧力をかけたことはないと主張している。

ワシントン・ポストの報道を受けて、トランプ氏が個人的に選任しているマーク・カソウィッツ弁護士は、同紙へのFBIの情報漏洩は「言語道断で容認できず違法だ」と強く批判した。ロシア当局と自分の陣営が選挙中に結託したという疑いについて、トランプ氏は「魔女狩りだ」と反発している。

BBCのアンソニー・ザーチャー北米担当記者は、仮にムラー特別検察官が大統領は確かに司法を妨害したと断定したとしても、起訴につながるのか、下院の対応次第なのか、法的展開は不透明だと指摘する。

ワシントン・ポストは、司法省は長年の慣習として現職大統領の起訴は不適切だという方針を貫いているため、特別検察官の結論を受けて弾劾手続きをとるのか決めるのは連邦議会の責任になると書いている。

(英語記事 Trump-Russia inquiry: President's 'possible obstruction'