2017年06月20日 12:58 公開

北朝鮮で1年3カ月以上拘束され、昏睡(こんすい)状態となっていた米大学生のオットー・ワームビアさん(22)が19日、米国内の病院で死亡した。家族が明らかにした。

ワームビアさんは今月13日に米国に帰国したが、約1年間意識不明だったことが明らかになっていた。

北朝鮮は、ワームビアさんがボツリヌス菌に感染し意識不明になったと説明したが、ワームビアさんを診察した米国の医師団は、菌の痕跡はないと反論していた。

ワームビアさんは、北朝鮮でホテルの政治宣伝看板を盗もうとした罪で懲役15年の判決を受けていた。

脳に深刻な損傷を受けていたワームビアさんは北朝鮮から飛行機で帰国し、自宅があるオハイオ州ワイオミングにある病院に入院した。意識不明になった理由は不明。

家族は、ワームビアさんが北朝鮮で拷問されたためだと主張している。家族は文書で、「私たちの息子、オットー・ワームビアが帰路の旅を終えたと皆さんにご報告しなくてはなりません。愛する家族に見守られて、オットーはきょう午後2時20分死亡しました」と述べた。

文書によるとワームビアさんは、「口がきけず、目が見えず、話しかけても反応できなかった」という。

「北朝鮮によって私たちの息子はひどい虐待行為を受けました。そのせいで、私たちがきょう経験した悲しい展開以外の結果はあり得ませんでした」

ドナルド・トランプ大統領は声明を出し、ワームビアさんの死について、「法の支配や人間としての基本的な良識を尊重しない独裁政権によって、罪のない人が悲劇的な目に遭った」と批判し、「このようなことが二度と起きないよう」米政府として取り組んでいくと決意のほどを示した。

「米国は北朝鮮による新たな犠牲者を悼みつつ、北朝鮮の独裁政権による残虐行為をあらためて非難する」

ワームビアさんは中国に拠点を置く団体「ヤング・パイオニア・ツアー」を使い、北朝鮮を観光で訪れた。団体はその後、米国からの北朝鮮訪問客の受け入れを停止している。

同団体は文書で、「(ワームビアさんの)拘束への対応はぞっとするもので、このような悲劇は二度と繰り返されてならない」と述べた。

「本人や、平壌で彼と接触していた人たちへの面会を何度も申し入れたものの、すべて拒否された。無事だという返事しか返ってこ」

ワームビアさんの病状

ワームビアさんの病状を家族が知ったのは、解放のわずか数日前のことだった。

解放直前に家族は米紙ワシントン・ポストに対し、ワームビアさんが2016年3月の公判から間もなく、まれな疾患のボツリヌス菌感染症にかかり、体がまひしていると北朝鮮当局から伝えられたと語った。

同紙によると、当局は家族に、ワームビアさんには睡眠薬を投与した、昏睡状態が続いていると説明したという。

オハイオ州の病院でワームビアさんを診察したダニエル・カンター医師は、「彼の神経学的状態については、反応のない覚醒状態、と言うのが最も適当だろう」と述べた。

検査の結果、ワームビアさんの体には身体的虐待を受けた痕跡は見つからなかったという。医師らは、呼吸停止によって脳が酸素不足になり昏睡状態に至ったと考えている。

ワームビアさんはどんな人物だったのか

米バージニア大学で経済学を専攻していたワームビアさんは、2016年1月2日、北朝鮮を観光旅行中に逮捕された。

1カ月後に開かれた記者会見でワームビアさんは涙ながらに、米国の教会に「戦利品」として持っていくために宣伝看板を盗もうとしたと告白し、「朝鮮の人々の労働倫理とやる気を損なうのが目的だった」と語った。

過去には、北朝鮮で逮捕された複数の外国人が、告白を強要されたとして、後に告白内容を撤回している。

北朝鮮は、ワームビアさんを「人道主義的見地から」解放したと述べていた。

(英語記事 Otto Warmbier, US student sent home from North Korea, dies