もっとも、「米国の反露ヒステリーは、国民の危機意識を高めるだけに、来年3月の大統領選でプーチン大統領が再選を果たすには都合がいい」(モスクワ・タイムズ紙)との見方もある。クレムリンは欧米との対決姿勢を維持しながら、極度の関係悪化は防ごうとするだろう。

 ロシアゲート疑惑の核心は、トランプ陣営が選挙戦でロシアと接触し、サイバー攻撃を依頼したかどうかにあり、これが判明すれば、国家反逆罪に当たり、弾劾の対象となり得る。しかし、過去半年間のFBIの捜査でも決定的証拠は見つかっていない。ロシアが捜査協力するはずもなく、解明は困難とみられる。
ホワイトハウスの執務室で、プーチン大統領と電話会談するトランプ米大統領=1月28日、アメリカ(UPI=共同)
ホワイトハウスの執務室で、プーチン大統領と電話会談するトランプ米大統領=1月28日、アメリカ(UPI=共同)
 むしろ、モラー特別検察官の捜査では、トランプ大統領とロシア新興財閥のドロドロした利権コネクションが浮き彫りにされ、それが決定打になる可能性がある。米国のメディアもこの部分の調査報道を行っているが、トランプ大統領のロシア関与は想像以上で、ロシア新興財閥がトランプ王国の資金源だった実態が判明しつつある。

 米誌「ベテランズ・トゥデー」(2017年1月21日付)によると、トランプ大統領がモスクワに来るようになったのはゴルバチョフ時代の1989年で、ソ連指導部からモスクワとサンクトペテルブルクへのホテル建設を依頼された。エリツィン時代には、エリツィン後継の噂もあった実力者、レベジ安保会議書記(2002年にヘリコプター事故で死亡)と関係を深め、先行投資したこともある。しかし、ロシアの新興財閥は自国のホテル建設に関心がなく、むしろ米国にトランプ大統領が保有する不動産に積極投資し、実勢価格の何倍もの価格で購入するお得意様だったという。

 トランプ大統領は2000年代初頭、アトランティックシティーのカジノ・ビジネスが破綻し、一時破産するが、その後トランプタワーの住居を高値で購入し、トランプ大統領を救ったのが、ロシアの企業や財閥だったという。トランプ大統領の子息、トランプ・ジュニア氏は「ロシア人は不釣り合いな価格でわれわれの資産を購入してくれた」と述べていた。

 トランプ大統領は特に、プーチン政権と関係の深い新興財閥のアラス・アガラロフ、イルガム・ラギモフ、トフィク・アリフォフといった人物とディール(取引)を重ね、2013年にはアガラロフ氏の招待で、ミス・ユニバース・モスクワ大会を主催するため訪露。その際、高級ホテルで売春婦と不適切な関係を持ち、ロシア側に監視された-と元英情報機関幹部が報告書で告発した。

 今後の捜査でロシア資金が選挙運動に使われていたことが判明すれば、政治資金規正法にも抵触する。トランプ大統領とロシア新興財閥の「闇の関係」の解剖が、今後のロシアゲート捜査の注目点になりつつある。