ネットでは大きな問題として取り上げられる傾向の強いヘイトスピーチや反ヘイト活動ですが、実際に選挙の情勢調査をしていると有権者が重視する話題の上位には入ってこないマイナーな問題に留まっています。

 唯一、近畿圏や東京の一部の選挙区ではヘイトスピーチの問題が少し争点として頭を出してきているかな? という程度で、それ以外のブロックでは「この問題は大事だ」とする層は4%以下の取るに足らない問題と見られます。これはヘイト関連だけでなく、LGBTや動物愛護、難病支援といったマイノリティに対する政策は取り組んでも議員にとっては票にならない分野であり、ヘイトの問題に積極的に取り組んでも利点はないと思われがちです。

 しかしながら、当事者にとっては極めて切実な問題であり、日本で適法に暮らし納税をしている外国籍や帰化した日本人にとっては、身に迫った差別に直面しているわけですから、どういう形であれ法的な救済を求める声は大きくなっていくでしょう。実際に、大手全国紙の各候補者アンケートでは、憲法で認められた表現の自由を制限してでもヘイト関連の対策は国として採っていくべきだ、という意見を回答する層が幅広く見られました。

 問題は、これらの差別の対象となってしまっているマイノリティの人々そのものではなく、その人々を具にしての民族主義的なヘイトスピーチと、それに対する反ヘイトという市民グループが暴徒化して、極右と極左で文字通り殴り合いになってしまっていることです。ここまで来ると、単なる暴動の前兆であって、その理由が差別を巡っての争いであったとしても過激派のゆりかごのような状態を危惧するのも当然のことでしょう。

 反ヘイト名乗る「男組」幹部ら8人逮捕 右派系男性への暴行容疑(産経ニュース 2014/7/16)

 この襲撃とされるものが、実際どのような状況で発生したのか定かではありませんが、今回は国民の審判における争点とはならずとも次回の国政選挙がもし行われるとしたら重大な問題として前面に出てくる可能性は否定できません。

 その背景には、自らの暮らしを良くする為にどう努力しても改善の兆しが見えないという低所得者の「諦め」と、広がる格差の中での「犯人探し」が進んでいった結果があり、暴力的な形での差別行動の激化に繋がっているとも考えられます。

  ヘイト側も反ヘイト側も、その主たる参画者の素性がもっと明らかになっていけば効果的な対策の採り方もかなり見えてくるのかもしれませんが、これらの暴動の根幹には貧困と格差拡大、そして将来に対する絶望のようなものがあるのだとすると、いくらヘイト方面を取り締まっても予備軍は次々と出てくるだけにも思えます。

 結局は、日本社会が将来への展望を失った結果として、いろんな病理が明らかになってくるのだと考えるほかないのではないでしょうか。