反翁長陣営からは、西銘恒三郎衆院議員(自民党)、安里繁信シンバホールディングス代表取締役会長、古謝景春南城市長、我喜屋優興南学園理事長(元興南高校野球部監督)などといった候補者名が聞こえてくるが、候補者選びは始まったばかりだ。反翁長陣営から複数の候補が正式に名乗りを上げる可能性も否定できない。
演説する沖縄県の翁長雄2016年6月、那覇市
演説する沖縄県の翁長雄2016年6月、那覇市
 いちばん問題が大きいのは、翁長知事以外に有力候補が見あたらない翁長派だ。政府との「対決」で事実上力負けしてしまった翁長知事は、健康問題も抱えているといわれ、出馬を見合わせる可能性がある。二階俊博自民党幹事長は、翁長派・反翁長派に分かれている保守を「手打ち」させようという思惑を抱いているようだが、翁長知事と仲井眞前知事のあいだの根深い確執もあり、今のところ先行きは不透明だ。

 これまで翁長知事を載せた御輿を、保守系翁長派とともに担いできた共産党、社会民主党、社会大衆党(沖縄の地域政党)の動きも大いに気になる。彼らは表面的にはまだ「オール沖縄の崩壊」を認めていないが、崩壊を認めたとしても候補者探しは難渋しそうだ。

 行き過ぎた抗議活動で逮捕された山城博治沖縄平和運動センター議長の名前も浮上しているが、山城氏のように保守票を集められない候補では苦戦を強いられることになる。彼らが「民意の揺らぎ」を正面から受けとめながら、仕切り直す意思があるのかどうか不明だが、少なくとも「辺野古反対」だけでは県民生活の安定は得られないことをしっかり認識すべきである。

 波乱はまだまだ続くだろうが、現状では、あれだけ盛り上がったかのように見えた「辺野古反対」「オール沖縄」とは一体何だったのかという反省や総括を欠いたまま、「県内政局」への関心だけで次の知事が選ばれることになりそうだ。

 誰が当選しても、それは県内の利害対立と利害調整の結果にすぎず、「基地」に対する県民の意思とは異なるレベルで雌雄が決するという意味である。「普天間飛行場の辺野古移設」が決着に向かい、基地縮小プロセスが着々と進むのは結構なことだが、県民・国民を翻弄し、莫大な税を投入してきた「辺野古移設」をめぐる大混乱が、責任者不在のまま「政治的駆け引き」のようなものによって幕を引かれるとしたら、何か釈然としない思いが残される。

 要するに「何事もなかったかのように曖昧に済ませてよいのか」というのが筆者の疑問である。県民や国民を不幸にするだけの、あのような混乱は二度と起きてほしくないが、曖昧に済ませれば問題は必ず再燃する。「翁長王国」は崩壊しつつあるが、火種はまだ残されたままなのである。