2017年06月27日 16:39 公開

「世界は米国をどう見ているのか」。米ピュー研究所による大規模な調査の結果、ドナルド・トランプ氏の米大統領就任は、世界の対米観に「大きな影響」を与えたことが明らかになった。

ピュー研究所は今年2月16日から5月8日にかけて、37カ国で4万人以上から聞き取り調査を行った。その結果、トランプ大統領とその政策は「世界の広範囲で不人気」だと結論している。

前任者のバラク・オバマ氏よりもトランプ氏を高く評価するのは、37カ国のうちイスラエルとロシアの2カ国のみだったという。

一方で調査結果によると、ほとんどの人は自国と米国の関係は今後変化しないと感じている。

主要な調査結果は次の通り――。

世界の人たちはオバマ氏ほどはトランプ氏を信用していない

2016年のオバマ氏と2017年のトランプ氏のどちらが、米国大統領として世界情勢のために正しい対応をすると思うかと質問に、韓国、カナダ、英国、オーストラリア、インドでそれぞれ「オバマ氏」と答えた人が多かったのに対し、イスラエルとロシアでは「トランプ氏」と答えた人が多かった。

同じ設問について、日本では「オバマ氏」と答えた人が78%、「トランプ氏」は24%だった。さらに日本では、トランプ氏を「信頼する」が24%だったのに対し、「信頼しない」が72%だった(豪は「信頼する」が29%、「信頼しない」が70%)。

トランプ氏は就任から直ちに、世界情勢に大きな影響を与え続けている。北大西洋条約機構(NATO)の加盟国には公平な分担を明確に求め、湾岸諸国にはカタールを孤立させるよう促した。

トランプ外交に揺さぶられる従来の同盟各国は当惑の色を濃くし、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は会談後に、欧州はもはや米国を「完全に頼りにすることはできない」と発言するに至った。

実のところ、ピュー研究所の調査で米国への信頼感が極端に低下したのは、従来の同盟国だった。たとえばドイツでは、86%がオバマ氏を信用すると答えていたのに対し、トランプ氏を信用するという人はわずか11%にとどまった。

その一方で就任から5カ月の間に、トランプ氏はイスラエルやサウジアラビアを早々に訪問するなど、重要な友好国に手を差し伸べてきた。たとえばイスラエルでの評価が高いのは、関係を重視した成果と言えるが、オバマ氏がイスラエルできわめて不人気なことの反映とも言える。

インドのナレンドラ・モディ首相は26日にホワイトハウスでトランプ氏と会談した。そのインドでは58%がオバマ氏を、40%がトランプ氏を信頼すると回答しており、比較的トランプ氏に好意的な国のひとつだ。

ほとんどの国はトランプ氏を否定的に見ている

調査では選択肢を7つ提供し、トランプ氏をどう見ているか尋ねた。無作為に選んだハンガリー(濃緑)とナイジェリア(緑)をメキシコ(薄緑)の回答を比較してみる。

「強い指導者(Strong leader)」という選択肢を選んだ人は3カ国とも多かった。「カリスマ性がある(Charismatic)」についてはメキシコで11%と極端に低かった。「資格がある(Qualified)」はナイジェリアが66%と高いが、ハンガリーが39%、メキシコは11%。

「思いやりがある(Caring)」はメキシコが8%と非常に少なく、逆に「傲慢(ごうまん、Arrogant)」はナイジェリアが33%、ハンガリーは66%、メキシコは実に91%の回答者が同意した。「不寛容(Intolerant)」や「危険(Dangerous)」でも、メキシコで大勢がこれに同意した。

日本では、「思いやりがある」が24%、「傲慢」が80%、「不寛容」が62%、「危険」が56%だった。

「長所と短所の両方を含む複数の特徴について調査したところ、トランプ大統領の最大の特徴は『傲慢』という結果が出た」とピュー研究所は指摘する。

調査対象の37カ国中26カ国で、過半数の回答者がトランプ氏を「危険」と答えた。

その一方で、回答結果は回答者の傾向によって変わる。自分は左寄りだと自認する人の方が高い確率で、トランプ氏を危険視しがちだ。ただしペルーとブラジルでは、政治的に中道な人の方が、トランプ氏を危ぶんでいる。

世界各国で全般的に、トランプ氏は強い指導者と見られている(日本では51%、世界的中央値は55%)。特に中南米とアフリカではこの傾向が顕著だ。

それとは裏腹に、トランプ氏が大統領としての資格を備えていると評価する国は非常に少ない。日本では「十分に資格がある」と答えた人は15%に留まった(世界的中央値は26%)。

中南米とアフリカから13カ国を並べた下グラフは、濃緑がトランプ氏を「強い指導者」と見る各国の回答者の割合。緑が「大統領としての資格を備えている」と考える人の割合。たとえばチリでは、回答者の81%がトランプ氏を「強い指導者」と見ているが、大統領としての資格が十分あると答えた人は21%だった。

入国禁止命令は米国のイメージを損ねた

ピュー研究所が調査結果を発表した数時間前には、イスラム教徒の多い6カ国を対象としたトランプ政権の入国禁止命令について、米連邦最高裁が執行差し止めを条件付きで解除した。

入国禁止の大統領令については、37カ国の回答者の62%が批判的だった。日本では66%が「支持しない」と回答。国の過半数が大統領令を支持したのは、イスラエルとハンガリーとロシアの3カ国のみだった。

イスラム教徒人口の多い国々では、当然のように大統領令に否定的だ。特にヨルダン(不支持率96%)、レバノン(同88%)、セネガル(同82%)で、批判が強い。

とはいえ実際の影響は

「とはいえ実際には影響はない」。これは我々ではなく、ピュー研究所と提携機関の世界的世論調査に参加した4万447人の、大方の意見だ。

トランプ大統領の存在によって自国がどうなるのか心配したり、傲慢な人だ、危険な人だと思ったりしても、多くの人は実のところ自分には何の影響もないだろうと考えている。

全員がそうだと言うわけではもちろんないが、世界的中央値で41%の人が、自国と米国の関係は変わらないだろうと答えている。

日本では、17%が関係は改善すると答え、34%が「ほぼ同じ」と回答。41%が「悪化する」と答えた。

関係が改善すると答えた人は世界全体で15%に留まったが、一部の国の人たちは特に楽観的だ。特にアフリカでその傾向が顕著で、たとえばナイジェリアでは54%、ガーナでは51%が関係改善を期待している。

同様にロシアでは53%が関係改善を期待しており、調査結果からトランプ氏がホワイトハウスにいる世界についてロシア人が全般的に楽観視している様子がうかがえる。

その一方で、米国との関係をどこよりも悲観している国といえば? それは圧倒的にメキシコだ。

(英語記事 Trump causes 'major' shift in global view of US: Pew